CV-22オスプレイ、作戦稼働機が大幅に減らされていた


2022年6月2日、横浜ノースドックに飛来したCV-22オスプレイ(22.6.2 星野 撮影)

米軍はV-22オスプレイの生産ラインの閉鎖に向けて動き出したが、空軍CV-22オスプレイの新規調達は2021会計年度の2機を最後に既に終わっていたようだ。

米国防総省が2022年4月に発表した「2023会計年度予算見積もり」(Fiscal Year (FY) 2023 Budget Estimates)の、「2023会計年度空軍航空機調達」第1巻(FY23 Air Force Aircraft Procurement Vol I)のPDF文書の147ページには、2022会計年度から27会計年度までの間にCV-22オスプレイを新規に調達する計画が無いことを示す表が掲載されている。

では、現在、米空軍は一体何機のCV-22オスプレイを保有し、そのうちの何機が実際に稼働しているのだろうか。

米特殊作戦軍(USSOC: United States Special Operations Command)の「2024会計年度予算見積もり」(Fiscal Year 2024 Budget Estimates)(2023年3月)の167ページに掲載された表には、2022会計年度から24会計年度にかけて、52機のCV-22を保有していることが示されている。
先日の11月29日の墜落事故で、その数は少なくとも1機は減ったことになるのだが。

しかし、米軍が保有するCV-22のすべてが稼働しているとは限らない。

米特殊作戦軍「2023会計年度予算見積もり」(Fiscal Year 2023 Budget Estimates)(2022年4月)の166ページには、CV-22に関する次のような記述がある。
「The FY 2023 aircraft quantity does not change; however, the number of primary aircraft are further reduced from 40 in FY 2022 to 29 in FY 2023 as they are moved to backup aircraft.」
すなわち、2023会計年度のCV-22の保有機数には変化はないが、バックアップ用の機体への移行のため、作戦に使用する稼働機数は2022会計年度の40機から23会計年度には29機へと減らされるというのだ。

つまり、繰り返しになるが、この記述通りにCV-22の運用が行われているとするならば、米軍の保有するCV-22オスプレイのうち実際に稼働させている機体は、2023会計年度の時点で29機にまで減っているということなのだ。

なお、2018年、横田基地に353rd SOW(Special Operations Wing)(第353特殊作戦航空団)所属のCV-22オスプレイが5機配備されたとき、「米側は、2024年頃までに段階的に計10機のCV-22と約450人の人員を横田飛行場へ配備する」と防衛省が説明していたことは記憶に新しい。

その後、2021年に1機が横浜ノースドックに陸揚げされて横田基地に追加配備され、先日墜落した1機を含めると6機が配備されていたことになる。

しかし、2022年と2023年に3機ずつの機体の入れ替えが行われたが、残りの4機の配備については今のところ情報がない。

そのような状況の中で起きたのが、横田基地所属CV-22の今回の墜落事故だ。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)


米国防総省“Fiscal Year (FY) 2023 Budget Estimates”(2022年4月)の“FY23 Air Force Aircraft Procurement Vol I”に掲載された、2021会計年度以降のCV-22調達コストを示す表。
2022会計年度から27会計年度までの間にCV-22オスプレイを新規に調達する計画が無いことが分かる


米特殊作戦軍“Fiscal Year 2024 Budget Estimates”(2023年3月)の167ページに掲載された表。
2022会計年度から24会計年度にかけて、CV-22は52機保有していることになっている


米特殊作戦軍“Fiscal Year 2023 Budget Estimates”(2022年4月)166ページからの引用。
2023会計年度に、実際に稼働させるCV-22の機体を29機にまで減らすことが記述されている


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