CV−22の訓練内容をオスプレイ横田配備レビューから探るー5

訓練空域での環境影響調査が無い横田レビュー

「CV−22の横田飛行場配備に関する環境レビュー」の生物資源の項目を見てみよう。その前にまず、このレビュー実施の根拠をひもとく。

『大統領令第12114号「連邦政府による主要な行動による海外での環境への影響」
大統領令第12114号は、合衆国の国境及び領域の外において実施される連邦政府の活動に関する意思決定を行うに当たり、環境への影響を考慮するよう連邦政府機関に命ずるものである。大統領令第12114号の対象には、(1)グローバル・コモンズの環境、(2)外国の環境又は(3)保護対象に指定されている、世界的に重要な自然資源又は生態学的資源に大きく影響する連邦政府の主要な活動が含まれる。
環境レビューは、提案されている措置の内容、重要な環境問題の特定、提案されている措置において環境への影響を改善又は最小限にとどめるような側面及び環境関連の検討に影響を与えるような、関与する外国政府が実施した又は実施予定のあらゆる行動を含んだものでなければならない。』(環境レビューの枠組みより)

次に評価の方法について触れられている。

『生物資源
植物の伐採又は直接的影響によって、配備に関連する建設計画が悪影響をもたらすかどうかを確認するため、日本環境管理基準(JEGS)及び飛行場の定める統合自然資源管理計画(米陸軍工兵隊2012) に従い、保護種を含めた野生生物、植生及び生息環境が評価される。』(1.2.2環境レビューの検討されている項目)

これで、評価の対象は「飛行場およびその周辺」に限定されてしまった。そして横田にCV22を配備した時の環境影響評価に移る。

『建設工事
建設工事中、騒音及び建設関連事業が妨害となる野生生物は、影響を受ける区域から離れていく可能性が高い。 鳥類、アカギツネ及びその他野生生物種が利用できる同様の生息地が他にも基地内及び周辺に存在している。』

『飛行場運用
フェーズU建設事業の完了後、飛行場運用により新設飛行場舗道周辺の平均騒音レベルが増加することになる。騒音の増大が、周辺の野生生物に対し驚愕効果を与える又は野生動物が当該区域を避ける期間を長期化させることによって、周辺の野生生物が影響を受ける可能性がある。
CV−22のローター・ウォッシュの影響を受ける飛行場区域に巣が位置している場合、地上営巣性の鳥類に影響が及ぶ可能性がある。
配備の初期段階後、継続して運用が行われるため、及び生息環境が乱されるため、鳥類は飛行場周辺における巣作りをやめる可能性が高く、他の場所に巣を作るだろう。』(14.8.1提案されている措置)

レビューの日本語訳の生物資源に係るところをコピーして並べただけだが、生物資源に関するレビューが、飛行場とその周辺しか対象としていないことはハッキリする。その飛行場周辺についての影響評価も、悪影響の可能性を認めつつ、野生生物は他の場所に移るだろう、というだけだ。これをもって「提案されている措置において環境への影響を改善又は最小限にとどめるような側面を含む」評価をしたというのは、「銃剣とブルドーザー」で住民を追い出すことを正当化するのにつながる考え方だ。

(RIMPEACE編集部) 


上信越高原国立公園 公園区域の概要(環境省)の上信越高原国立公園区域及び保護規制計画図
CV22オスプレイの訓練空域の一部を重ねた。特別保護区域をはじめとする保護規制計画の対象区域が目白押しだ。


2016-3-31|HOME|