米空軍安全センターレポートより(2)

CV−22、クラスB事故率の変遷とオスプレイの危険性


CV−22の年度ごとのクラスB事故件数と、時間軸に対する事故件数の「傾向線」(安全センターレポートより)

米空軍安全センターのレポートには、クラスA事故の件数とともにクラスB事故の件数、事故率のデータも載っている。
クラスAの事故とは、死亡者がでるか機体に200万ドル以上の損害が出た場合もしくは全損。クラスB事故は身体機能の一部が失われるか、機体に50万ドル以上200万ドル未満の損害が出た場合。 大雑把には以上のような分類になる。

このような分類のもとで、CV−22オスプレイののクラスBの年度ごとの事故数は上掲の表に示されている。比較的機体数の少ないCV−22としては、事故数が多い。
CV−22のクラスB事故率、直近5年間の事故率(5年事故率)を、安全センターのデータをもとに計算しグラフ化したのが下の図だ。5年事故率は年度ごとのデコボコを均すとともに、5年を 超える過去のデータの影響を排除し、5年間の現況を反映する。

下図からは、13会計年度以降、事故率がそれ以前のレベルをはなれてどんどん高くなっていることが一目瞭然だ。飛行開始してから数年の間に出るはずの「初期故障」より、それ以降で事故率が 上がるのは、CV−22が航空機の一般的な法則に従っていないことを示している。

初期故障を修正していけば、故障の回数は減っていくはずだ。それが「一般的な法則」だろう。オスプレイの場合、機体が重くてエンジンの出力に余裕がないことがその原因になっているのではな いか。プロペラをヘリモードと飛行機モードに切り替える複雑さ、ヘリにはない主翼の重さ、主翼両端のエンジンを相互にカバーするクロスシャフトの重さなど、オスプレイの基本設計にかかわる 部分で軽量化が望めない。基本設計が手直し不能なために、事故の教訓を機体に反映できないから、事故率の低減化が望めなくなっているのではないか。

MV−22オスプレイでも見られる事故率の増加傾向は、機体に共通部分が多いCV−22オスプレイでも変わりえないのではないか。

(RIMPEACE編集部 頼 和太郎)


2018会計年度まで、CV−22の年度ごとのクラスB事故件数、事故率、5年事故率(安全センターレポートをもとに計算)


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