横田のCVは日暮れて飛び立つ−4
那覇市の中心部の上空をヘリモードで飛行するMV−22オスプレイ。市街地上空をヘリモードでの飛ばないのは日米合意事項だ
(2013.12.11 那覇市松山で撮影)
この6月10日、日本記者クラブ沖縄取材団が普天間基地内で司令官や航空安全担当官、広報担当官に取材した。普天間基地のオスプレイが、2012年の日米合意を守らず市街地上空でヘリモードで飛んでいることについて問われた、オスプレイのパイロットでもある航空安全担当官ディマース少佐は、オスプレイの飛行についての日米合意の取り決めを順守する必要はないという意味の発言をした。
ディマース少佐は「その取り決めを実際に書いていないものとしては、安全に飛行するために定められた(別の)飛行基準に従って飛ぶ」「いかなるモードでも飛行できることが安全な飛行運用を可能にする」と述べた(2015.6.11 琉球新報)
沖縄でよくみられる日米合意違反の飛び方が偶然ではなく、合意とは異なる規範に基づいて意識的に行われていたことがはっきりした。
この意図的な合意違反については、国会でも取り上げられた。参議院決算委員会で田村智子議員(共産)が「航空安全担当官クリストファー・ディマース少佐は、日米合意について、安全に飛行するために定められた別の飛行基準に従って飛ぶと言っている。このことを日本政府は承知しているか。問いただして抗議すべきだ」と質問した。
岸田外務大臣は次のように答えた。「米側に確認しましたところ、普天間飛行場の航空安全担当官が本件合意の内容を否定するような発言を行ったわけではなく、米側として同合意を遵守する必要がないとの認識を有しているということでもない、そして、米側として、米軍機の運用に当たっては安全性の確保が最も重要であると認識しており、同合意を含む日米合同委員会合意を引き続き遵守する、こうした説明を受けました。」(2015.6.22 参議院決算委員会議事録より)
普天間基地の航空安全担当官は、「本件合意の内容を否定」したのではなく、「安全に飛行するため」という名目で合意そのものを否定したのだ。日本政府はそのことに抗議もなにもしていない。
航空安全担当官といっしょに取材を受けていた海兵隊報道部のクーパー中尉は「運用上必要な場合を除き、垂直離着陸(ヘリ)モードでの飛行は米軍施設・区域内に限るとする日米合意が守られていないとの指摘について「安全に飛行するのが大事。(合意が)必ずしも法的拘束力を持つわけではない。任務の安全性を優先させる」と述べた。(2015.6.11 沖縄タイムス)
これも、合意を完全には守る気が無いことの表明だ。それにしても...。沖縄本島内でしばしばみられる合意違反のオスプレイの飛行は、合意を守っていたのでは安全な飛行が出来なくなるためだったのか?
普天間のオスプレイは、それほど頻繁に市街地の上空で危険な状況に直面していた、のかな?
中谷防衛大臣は5月12日の記者会見で、CV−22オスプレイの横田配備について
「通常の飛行訓練に加えて、低空飛行訓練、夜間飛行訓練、そういうものは実施をいたしますが、実施をする場合もですね、もうすでにMV−22というオスプレイをわが国として受け入れておりますが、この際の日米合同委員会の合意、これを含む既存の全ての日米間の合意を遵守をしていきます」といった。
ひと月もたたないうちに、普天間のオスプレイ部隊の幹部が、そして海兵隊の広報担当者が「日米合意を守る必要はない」「必ずしも法的拘束力を持つわけではない」と取材に答えて話している。
中谷さん、あんた、顔に泥を塗られた、と怒るところだぜ。日米合意さえ無視する奴らを支援するために集団的自衛権を発動しなければならんのか、とちゃぶ台をひっくり返すところだぜ。
(RIMPEACE編集部)
2015-7-14|HOME|