普天間のKC130、岩国・横田間飛行で部品を落とす


離陸のために滑走路に向かうKC130空中給油機。主脚を格納すると閉じる部分に、着陸灯がついている
(05.1.20 普天間基地)

6月16日、普天間基地所属の空中給油機KC130が、岩国基地から横田基地に飛行した時に、重さ約700グラムの着陸灯を紛失した。
事故から一週間後の6月23日に、横田基地周辺市町基地対策連絡会の当番だった羽村市に、横田防衛事務所から口頭連絡があった。発生一週間後に連絡してくる防衛施設庁のやり方も問題だが、連絡を受けて報道発表しなかった周辺自治体も、基地被害に対して鈍感になっている、と言わざるを得ない。
同様に6月23日に口頭連絡があった岩国市では、リムピースメンバーの田村順玄岩国市議が、岩国市長あてのメッセージを発している。
「些細な事故の様にも見えますが、事はヘリ事故のあった普天間所属機のこと、ずさんな整備が大事故を起こしたのです。岩国市は声を大にしてこうした事実を市民に知らせ、米軍基地の問題点を追求していくべきです」

この部品落下事故については、大きな問題点が2つある。
第1は、米軍の航空機整備態勢、普天間基地の整備の問題だ。あのヘリ墜落事故の事故報告書では、主因となった後部ローターの落下とは別に、「事故の原因とは思われない部品の欠落」についても触れていた。ヘリの胴体についている安全灯のカバーが、事故機から外れていたのだ。
このような一見「小さな事故」に象徴される整備態勢の緩みから、墜落事故のような大事故が引き起こされる。普天間のヘリの事故がそのことを如実に語っている。

第2の問題点は、事故機の所属する普天間基地周辺自治体に、米軍や防衛施設庁から連絡がなかったことだ。
「米軍側から県や市に連絡する態勢が欠落していることに憤りを感じる。米軍は何かあれば、速やかに知らせるのが最低限の責務だ。報告がないと行政としては住民を守り、説明することができない。あまりにもひどすぎる」(宜野湾市基地政策部長、7.12 琉球新報より)
「墜落などの重大事故は報告するが、軽微な落下事故では通例として軍用機が所属する基地の自治体には報告していない」(防衛施設庁の説明、7.13 沖縄タイムスより)
着陸灯は、航空機が着陸のために脚を出した(ギア・ダウン)ときに点灯して機外にさらされる。離陸直後に脚を引っ込めた(ギア・アップ)時に消灯して、格納される。離陸時には基地の金網を飛び越えるより前にギア・アップされるのが普通だが、着陸時は、タッチダウンの4マイルも5マイルも前からギア・ダウンして下りてくる。
市街地に囲まれた普天間基地の場合はとくに、着陸灯を露出しながら民家の上を飛ぶ時間が長くなる。仮にこの事故機が横田でカバーを落下させなかったら、所属基地に戻る途中に宜野湾市上空で落としていた可能性は大きい。
十数機のKC130が所属する普天間基地の周辺自治体にとって、この「岩国・横田間で起きた落下事故」はもちろん他人事ではないし、「軽微な事故」でもない。それを理解しない米軍・施設庁が、はたして今後の事件・事故の防止にどこまで真剣にとりくむのか、疑問だ。

(遠藤洋一・福生市議)


低高度で普天間基地にアプローチするKC130。民家の真上だが、この辺では既に脚を出している(05.1.20 撮影)


2005-7-14|HOME