横田飛行場と同様に年に近接した内陸型空港の事例として大阪・伊丹空港を取り上げ、その概要をとりまとめる。
(1)伊丹空港の現況
伊丹空港は、大阪府豊中市、池田市及び兵庫県伊丹市の2府県3市にまたがって所在し、A滑走路(長さ1,828m、幅45m)とB滑走路(長さ3,000m、幅60m)の2本の滑走路を備えている。
平成9年度における伊丹空港の離着陸回数は8万9,838回(うちジェット機7万5,431回で総離着陸回数の84.0%)であり、一日あたりの平均離着陸回数は246回で、うちジェット機は207回であった。
(2)伊丹空港における騒音防止対策
航空機騒音対策は、低騒音型機材の導入や発着規制、運航方法の改善などの派生源対策、緩衝緑地整備等の空港構造の改良、住宅防音工事等の補償や計画的土地利用等の空港周辺対策に分けられる。
このうち派生源対策としては、22時から翌朝7時までの運航を制限する夜間運航の規制、1日の発着回数をジェット機で230便まで、全体で370便までとする発着枠の設定が行われている。
また、空港周辺対策においては、対策を行う事業体として空港周辺整備機構が設立され、伊丹空港周辺における移転補償、民家防音、代替地造成、共同住宅建設、再開発整備、緑地造成の各事業が実施されている。
空港周辺対策は、騒音影響の大きさ(WECPNLで評価)によって周辺地域を第1種区域(WECPNL75以上)、第2種区域(WECPNL90以上)、第3種区域(WECPNL95以上)及び区域外(WECPNL75未満)庭家、以下に示すようにそれぞれの区域に対応した対策が行われている。
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注 影を付けた部分は閣事業において対象となる区域を表す
こうした空港周辺対策が進められてきた一方で、1994年の関西国際空港開港に伴う便数の減少や低騒音型機材の導入等により、周辺地域の騒音は大幅に減少してきている。それを受けて、1998年には区域指定の一部解除が告知されている。