やっと一件、米軍が電波妨害認める


横須賀入港の翌日の10月18日、バースチェンジで隣りのマスターピア・ウェストに移動する駆逐艦ラッセン

10月後半に3件の電波妨害が続いた事件で、在日米軍はやっと10月17日の妨害事件への関与を認めた。
在日米軍の発表によれば、10月17日に横須賀に入港した艦船から発艦したヘリの航法支援のために、承認されていない周波数の電波をその艦船が出してしまったということだ。ただし、この艦船の名前は明らかにされていない。

当方の調査結果によれば、10月17日に横須賀基地に入港した艦船は駆逐艦ラッセンだけだ。ラッセンはアーレイバーク級フライトUAで、横須賀常駐の他の駆逐艦と違ってヘリの運用能力を持つ。
9月2日に横須賀に配備され、9月26日に出港するまで横須賀に停泊していた。出港後、沖縄近海で行われた対潜訓練に他の4隻の駆逐艦とともに参加、いったん横須賀に戻ってきたあと室蘭港に寄港し、15日に同港を出港して横須賀に戻ってきた。日本に来て間もないラッセンが、日本での電波使用の規制に慣れずに妨害電波を発信してしまった、というところではないか。

不慣れだったから許されるというものではない。米軍に国内法が適用できないというのなら、米軍内部で処罰があってしかるべきだが、それについて在日米軍の発表は何もふれていない。ラッセンの艦長か航空作戦担当士官に対する責任追及無しには「将来にわたって、民間の電波システムを妨害しない」(在日米軍の発表より)ことは担保されない。

次に、在日米軍の発表では10月21日の電波標識がダウンした事故について、米軍は関与していないと結論付けている。その理由は次の通りだ。
「10月21日の米軍の飛行活動について包括的に調査した結果、電波を発して民間の電波標識を妨害出きる米軍の航空機や装置は羽田空港の南のエリアには存在しなかった。だから(米軍は)航空標識を妨害する電波を出すことは出来なかった。」

これが「米国と日本の代表者からなる調査チーム」の結論だという。米軍も航空機による妨害だ、という前提で「結論」を出している。
我々の入手した監視データは、厚木の艦載機EA6Bが「羽田空港の南のエリア」を飛行していたことを示している。もしこの「調査チーム」が、10月21日の"CARRIER AIR WING FIVE FLIGHT SCHEDULE" という書類を調べれば、EA6Bが当日何をしていたかがわかる。この書類には、その日の厚木の艦載機のミッションごとに、コールサイン、所属飛行隊、機種・機数、離陸・着陸予定時間、飛行時間、クルー、飛行訓練空域、最終目的地が印字され、さらに実際の離陸・着陸時間が手書きで書き加えられている。
また、厚木、横田、東京ACCのレーダー映像や交信記録が残っていれば、当日11時ころに離陸したEA6B(NF504)の動きがよりリアルにつかめるはずだ。

ところで、米軍機ではない、という結論が正しければ、事態はとんでもなく大きく発展することに、この「日米合同の調査チーム」は気付いているのだろうか。米軍機ではない、また、自衛隊も関与を否定しているから自衛隊機でもないということになれば、これは国籍不明機ということだ。
国籍不明機が首都圏のすぐ近くまで侵入して、民間施設に被害を及ぼした、ということになる。航空自衛隊の防空体制の問題であり、空自の幕僚長や防衛庁長官は責任をとって....(以下略)

こういうとてつもない話しに発展する前に、米軍と自衛隊の記録をきちんと調べて「犯人」を特定したほうが未だ影響が少ないのではないのかな?

(RIMPEACE編集部)

[関連ページ]
10月21日の電波標識ダウン、厚木のEA6Bのしわざか(05.12.5)


'2005-12-12|HOME|