三沢、象のオリとピンポン玉


セキュリティ・ヒルの受信設備群。右が象のオリ、左が17個のレドーム


レドームとオリの間にある低層の建物が、受信設備の心臓部と見られる
 

5月14日、三沢空港(基地)を離陸したJAL機からは、三沢基地西方・姉沼と小川原湖に挟まれた通称セキュリティ・ヒルのアンテナ 群が見下ろせた。
小川原湖畔からも目立つ大きな「象のオリ」は、短波帯の電波をキャッチする施設として知られている。しかし昨年11月、米軍はこの 「象のオリ」を解体することを計画中という報道があった。

「米軍は象のオリと呼ばれる巨大な通信施設を解体することを考えている。極東最大といわれるこのアンテナは、旧ソ連、中国、北朝鮮 の通信を傍受する世界に広がったネットワークの一環だ。しかし冷戦終結後デジタル通信への移行が進み、巨大な円形アンテナは時代遅れ となった」
「象のオリは、ここ数年使用されていない、と三沢基地の関係者は語っている」(08.11.3 ヘラルド朝日より)

上空から見た限りでは、象のオリの解体は未だ進んでいない。しかし、この施設が果たしてきた傍受の任務を、大小のピンポン玉が並べら れたようなパラボラアンテナ群が引き継いだことは間違いないようだ。
セキュリティ・ヒルの心臓部は、人工衛星からパラボラ・アンテナ群にダウンリンクされたデジタル信号を解析する施設だろう。
上空から見ると、データ回線と見られるラインが、一つ一つのパラボラ・アンテナから出ている。それが集約されるのが、ピンポン玉と 象のオリの間にある低い、しかし床面積の広い建物だ。この建物は、象のオリの中心の受信部ともラインでつながっている。

この建物の中で、アナログ、デジタル双方の信号の解析をしていると思われる。デジタル通信への移行期に、象のオリの機能を徐々にパラボ ラ・アンテナ群が代替していったのは、2つのアンテナからのデータが一箇所に集められていたから可能だったのだろう。
パラボラ・アンテナが「増殖」したのも、機能代替に伴うものだったと考えれば納得できる。

(RIMPEACE編集部)(写真は 09.5.14 撮影)

[関連ページ]
増殖する三沢基地セキュリティ・ヒルのアンテナ群 (08.9.20)


2009-5-16|HOME|