「くじら殺し」コリーと原潜、沖縄近海での動きは?


那覇軍港に入港するコリー・ショウエスト(1月22日撮影)


横浜ノースドックに停泊中のコリー・ショウエスト(4月6撮影)

低周波アクティブ(LFA)ソナー搭載艦コリー・ショウエストが、3月31日に横浜ノースドックに戻ってきた。1月16日に出港してから2ヶ月半ぶりの帰港だ。この間にコリー・ショウエストは3回、那覇軍港に短い寄港を繰り返している。

この船の一つ前の航海は、10月14日にノースドックを出て12月26日に戻ってきた。このときもコリー・ショウエストは11月から12月にかけて3度、那覇軍港に寄港している。音響測定艦の中で、任務航海の途中で那覇軍港に寄る回数が極めて多い船だ。

コリー・ショウエストに積まれているLFAソナーは、新型の静粛なディーゼル潜水艦が空母を攻撃できる位置につく前に探知する新兵器という触書で開発された。海洋哺乳類に対する悪影響との関連で使用できる海域が制限されている。
06年10月末に、インペッカブルとコリー・ショウエストという2隻のLFA搭載艦が沖縄近海にいたにもかかわらず、中国のディーゼル潜水艦が沖縄近海を航行中のキティーホークに探知されずに近づいた。鳴り物入りで開発されたLFAソナーが、有効性を問われる事態となった。

06年8月20日以降途絶えていた沖縄・ホワイトビーチへの原潜の一時寄港が、11月1日から再開された。3月末までに15回、そのうち14回はごく短時間の沖合い一時寄港だ。そして原潜のホワイトビーチ寄港の前後に、LFAソナー搭載艦2隻、とりわけコリー・ショウエストの那覇軍港寄港が重なっている。

原潜の一時寄港の目的のほとんどは「人員移送」だが、真昼間にタグボートに曳かれて沖合いに停泊して、特殊部隊の上陸訓練でもあるまい。「人員移送」という名目で原潜の航行データや、アクティブソナーの探信音の到達状況など、潜水艦の送信装置では送るのが困難な膨大なデータを手渡すための一時寄港ではないだろうか。

同期間に何度も那覇軍港に寄港している測量艦サムナーが収集する海水の温度データ、逆転層の有無などを参照しながら、コリー・ショウエストがメインになって、LFAソナーの有効性の検証を繰り返している、というのが、沖縄近海で活動を続ける原潜、音響測定艦、測量艦の動きにたいする説明として妥当性の高いものなのではないだろうか。

コリーショウエストが横浜ノースドックに入港したすぐ後の4月5日、LFAソナー搭載艦インペッカブルが那覇軍港に寄港しているのが確認された。

(RIMPEACE編集部)

[参考ページ]
「くじら殺し」のコリー、那覇軍港に短期入港(2006.11.20 up)


ホワイトビーチに一時寄港した原潜ヒューストン(3月17日撮影)


那覇軍港に停泊中の測量艦サムナー(3月11日撮影)


'2007-4-8|HOME|