米軍、沖縄のPAC3ミサイル部隊を岩国、横田に展開(3)

沖縄で見たパトリオット展開訓練


沖縄本島中部のキャンプ・コートニーに展開したパトリオット部隊


ミサイル発射筒には「INERT」と書かれていた(2010.12.5 頼 撮影)


今回、岩国基地に展開したパトリオット・ミサイルの発射筒(18.10.30 戸村 良人 撮影)

沖縄本島中部の嘉手納基地の北側には、広大な嘉手納弾薬庫がある。その弾薬庫に米本国からPAC3などのミサイルが運び込まれたのは、2006年10月だった。

PAC3部隊の機材や車両などは那覇軍港から陸揚げされた。しかしミサイル本体が格納されたコンテナは、天願桟橋から陸揚げされて嘉手納弾薬庫にトレーラーで運ばれた。
ミサイルや弾薬、毒ガスなどは天願桟橋から運ばれる。

PAC3の実弾は、発射機に載って嘉手納弾薬庫に配備されている。ミサイルの移動訓練(陸上・海上輸送、現地での組み立て)には、訓練用のダミーのミサイルが使われる。
嘉手納基地内の周辺道路を使っての移動訓練や、一般道路を使って移動して別の基地でミサイル発射装置を組み立てる訓練が繰り返された。

訓練用の模擬弾が入った発射筒には「INERT」の文字が入っている。移動訓練を目撃した人たちは一様に「INERT」の文字を確認している。
今回、岩国と横谷展開したパトリオット・ミサイルは実弾だったのだろうか?

発射筒の「INERT」の文字は確認されていないが、部隊の装備品や発射筒が那覇軍港経由で岩国・横浜に来たグリーン・レイクで運び込まれ、天願桟橋から積まれたものではないことから、 今回の訓練で展開したパトリオットミサイルは、実弾ではなかった可能性が大きい。
上掲の岩国の発射筒の白い部分に、「INERT」とか「ミサイルは積んでない」と書かれているのではないだろうか?

実弾じゃなければ安全だ、というわけでは、もちろんない。米軍基地を守るために訓練を行ったということは、米国が戦争を起こせば、在日米軍基地がミサイルで狙われる可能性が強いということ を米軍が承知している、ということだ。

ミサイルとアンチミサイルの配備増を繰り返してもイタチごっこになるだけで、平和は得られないということは、軍隊にはタブーなんだろうか?

(RIMPEACE編集部 頼 和太郎)

[参考ページ]
シリーズ・沖縄の基地を視る(85) 嘉手納基地のPAC3展開訓練用装備(2007-12-23)



沖縄にPAC3ミサイルが運び込まれてから一年たったころには、嘉手納基地の国道近くに移動訓練用の模擬弾や車両が置かれていた(2007.11.16 頼 撮影)


那覇軍港は海上輸送の軍事物資の出入りの拠点だ。軍用車両をおろしているのは、今回も動いたグリーン・レイク(2017.7.13 読者 撮影)


金武湾に突き出た天願桟橋。沖縄米軍の使用する弾薬はほとんどが天願桟橋に着く(2012.10.25 頼 撮影)


2018-10-31|HOME|