3月相模原市議会報告(金子ときお)


質問

相模補給廠のPCB搬出問題

 昨年12月の議会のときに、私の質問で、相模補給廠の150トン余りの PCB、 さらに国内の米軍基地全体での290トンの使用中のPCB。これらの行方 を見守ら なければなりません、と申し上げました。
 そして、1月12日、米陸軍は相模補給廠から米国産のPCBを一部米本 国に向け 搬出すると発表しました。事前に米軍が有害廃棄物の搬出を公表したのは初 めてで す。ここまでは評価できるわけですが、評価はここまで。
 その後は当初発表した搬出の動きもなく、予定の船にも積まず、その理由 を聞いて もノーコメントを決め込む事態になりました。そして2月15日、突然、P CBを保 管している172番倉庫の中から運び出されたPCB含有廃棄物が、航空 貨物用の パレットに積まれ、トラックに積み込まれ、DRMOの倉庫に運ばれます。
 そして、市やマスコミの問い合わせにも答えないまま、17日の未明、午 前4時 ちょうどに、西門から6台のトレーラーで出て来ました。とても寒くて、ま だ真っ 暗、それも土曜日の午前4時、こんな時間に闇にまぎれて出す必要があるん でしょう か、一度は事前に発表したものなんですから。
 前後をDLAの車とアメリカ大使館の車、外交官ナンバーの車です。この 車に護衛 されて横田基地に行きました。約50分の道のりでした。  私はこの一連のPCBの動き監視しつづけ、ずーっと横田基地まで追っかけ たりもし たのですが、なぜ、米軍がこのPCBの搬出を、闇にまぎれてやる必要があ るのか、 意味が分かりません。
 結局、PCBは横田から航空機で米本国、アラバマ州のペルシティという ところに 運ばれたようですが、そして、昨年と同じ、米国のTCI社が処理を請け 負ったよう ですが、こうした事はスターズ&ストライプス紙が報道しています。
 さて、ここからが質問です。まず、今回のPCBの搬入の経過、今、私が 述べたこ とと市が公式にとらえたこととを確認しておきたいと思います。米軍や国の 対応など 市の把握している経過を伺います。
 次に、米軍の情報開示と情報隠し、一旦はPCBの搬出を公表しておきな がら、途 中からは貝のように押し黙ってしまう。この情報開示という点から見ての市 長の認識 を伺います。
 次に、これは何回も聞いたり確認していますが、PCBの今後の問題で す。
今回の闇に紛れての搬出、正確な数字が分かりませんから、米国産の物が、 現在どの くらい相模補給廠に残っていて、今度どう搬出するのか、さらに今後の搬入 の動きに どう対処していくのか、こうした点についての市長の認識と取り組みを伺い ます。

  厚木基地の爆音被害対策

これも前議会でも取り上げましたが、 12月以降もいろいろ動きがありました。一つは1月29日に、大和市に岩 国、三 沢、福生、綾瀬の各市長、いずれも米軍の夜間連続離発着訓練に悩まされて いる基地 を抱える市長が集まって、情報交換や今後の取組について協議、アピールが されまし た。これをNLPサミットと呼んでいます。
 そして、もう一つの大きな出来事。米空母キティホークが、2月は2回事 実上の母 港としている横須賀を出港した訳ですが、この時NLPを厚木基地で実施せ ずに出港 していったこと。特に2月23日から26日までは厚木基地でNLPをやる と通告し ておきながら中止。やればできる。NLPをやらなくても空母は出港できる という実 績を残してくれました。貴重な実績です。
 しかし、NLPはやらなかったといっても、昼間の訓練は激しくやってい ます。基 地周辺が静かだったわけではありません。2月は各自治体に寄せられた苦情 電話もた くさんありました。
 そこで、問題ですが、米軍はなぜ、2月にNLPをやらなかったのか、昨 年来の大 和市などの友好断絶宣言、そして、えひめ丸事件も影響していると言う意見 もありま すが、やはり、米軍に対する市民・住民・自治体の反発が一番の要因だと思 います。
 こうした一連の動きを捕らえて、厚木基地の昼間の爆音をなくさせるため に、もっ と強力な運動を市長に展開してほしいと思う訳です。例えば、厚木基地周辺 各市の取 り組みとして、もう少し強力なアクションを起こすべきと考えます。市長の 見解を伺 います。

市長答弁(要約)

        本年1月12日、在日米陸軍の担当者が来庁し、「1月27日に相模補給 廠から横 浜ノースドックに向け、PCB含有廃棄物をを搬出し、2月1日ごろ軍契約 船で出発 する」旨の手紙を受け取った。しかし、搬出予定の前日、米軍は「搬出日は 29日以 降になる」との連絡があった。その後、本市のたび重なる照会に対して「外 務省を通 じて照会してほしい」との回答があった。このような中で、2月17日未 明、横田基 地に向け、補給廠から搬出された。
本年1月12日の米軍の情報提供は評価できるが、その後一切の具体的情 報のない まま、2月17日の搬出となった。2月22日、米軍にその経過と理由の確 認を求め た。この中で、米国本土の環境団体に搬入阻止の動きがあったため、情報提 供できな かった旨の説明を受けた。また、この件については米国防総省が直接対応す る、キャ ンプ座間では変更後の情報には関与できなかった、と説明された。本市とし ては、所 期の目的である補給廠からの撤去のため、やむを得なかったと考える。
国の説明によると、PCB含有廃棄物を米国に搬出するには一定の条件、 具体的に は当該含有物が米国産で濃度が50ppm未満であることが条件とのことで す。条件 を満たした廃棄物以外は、現状では国外への搬出は困難と考える。また、他 の米軍基 地のPCB含有廃棄物につては、それぞれ発生した基地において適正に管理 すべきと 考える。
厚木基地の騒音苦情件数は、本年度は昨年度に比べ著しく増加している。 このた め、神奈川県及び関係各市とともに。周辺住民の苦痛を訴えていく必要があ る。「厚 木基地騒音対策協議会」で具体的提案を行うことも一つの方策である。

再質問 (要約) 

   1.米本土の環境団体の動きに配慮して、情報を提供しなかった。その事、 やむをえ なかったという認識、これはおかしいんではないか、米本土が優先です か。私は納 得できない。相模原の市民の不安はどうなるんですか。やむをえなかったと いう認 識、改めてほしい。
2.今後の米軍の持つPCB含有物の処理、それぞれの基地毎に、例えば  横須賀も 岩国も三沢も、そこで処理する。相模補給廠に、DRMO相模に持ち込まな い。この 事、強く求めていくべきと考えます。国と米軍にきちんと要求すべきです。
今、国内の米軍基地には、PCB 含有物、そして廃棄物、どのくらい  あるの か、公式には昨年6月30日 の外務省発表だけです。今回も、いろいろな 報道が あって、どれが正確なのかも分からない状態です。毎回数字が違う。明確に すべきで す。
3.立ち入り調査について、前議会でも、主張しましたが、その後はどう なっている のか。今、相模補給廠でPCBが保管されている172番の倉庫、どんな倉庫 か分かっ ていますか、上矢部住宅から100メートルも離れていない。内部の状態も 分かって いない。これでは不安ばかりが募ります。立ち入り調査について、今後どう するの か。
4.次に厚木基地の爆音問題です。今年の後半といっていますが、6月過ぎ に、米空 軍の横田基地で、滑走路の大規模改修事業が始まります。期間は約200 日、滑走路 の半分が閉鎖になるため、横田に配備のC9という輸送機の部隊が厚木基地 に一時移 転、厚木基地でタッチ・アンド・ゴーの訓練を行うはずです。この事、市は 認識して いるのか、事前に厚木基地周辺市に説明等はあったのか。本市上空も、この C9の旋 回で結構爆音被害が増えると予想されますが、認識と見解を。

要望 

 PCBの動きについて、情報隠し、毅然たる態度が必要です。いかなる事 情があろ うと、『やむをえない』という認識は納得できません。もっと強い対応を図 るべきで す。これ以上やっても平行線ですが要望しておきます。
 厚木基地の爆音対策、NLPサミットを踏まえて、周辺市の市長や議長で 作る、厚 協、厚木基地対策協議会のもっと充実が望まれます。そして断固たる決意 が、取り組 みが必要です。
 横田基地の滑走路工事にともなうC−9,という大型のジェット機の一部 移駐、連日行うであろう完熟飛行訓練。どう対応するのか、本市だけの問題 で はないので、厚木基地周辺の各市とも連携を取り合って、キチンと対処して 下さい。 要望しておきます。
 

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