相模補給廠に作られる

任務指揮訓練センターと陸上自衛隊−1

2011年8月4日に任務指揮訓練センター(Mission Command Training Center: MCTC)が相模補給廠内でオープンする。旧称を戦闘指揮 訓練センター(Battle Command Training Center: BCTC)という。オープン直前に名前が変わったわけだが、変わったのは名称だけで はない。

米陸軍全体のBCTCがハブとスポークというレベルわけにされた組織構造になっていて、相模補給廠に造られるBCTCはスポーク で、アラスカのBCTC(スポーク)とともにハワイ・スコーフィールドバラックスのBCTC(ハブ)にぶら下がっていたことは、 戦闘指揮訓練センターのアウトライン−2(2008-6-17) で述べたとおりだ。太平洋陸軍傘下の在外部隊の基地に出来るBCTCをハワイが統括する形になっていた。
一方韓国内でBCTCと同じ仕事をする組織は、韓国戦闘シミュレーションセンター(Korea Battle Simulation Center: KBSC)をハブ として、第二歩兵師団のBCTCがスポークとなっていた。

KBSCのシミュレーションで用いられるプログラムを管理・運用する支援業務は民間の業者にアウトソーシングされる。業者募集の前段 階の公示がFBO(Federal Business Opportunity)から7月1日に出され、その後KBSCの業務記述書(Performance Work Statement)も明らかになった。
そこには、KBSCをハブとして、韓国内の組織と相模のMCTCをスポークとする説明が出ていた。

「受託業務は韓国内と日本のMCTCの支援と、太平洋戦域のその他の場所で行われる訓練の支援だ」
「韓国戦闘シミュレーションセンター(KBSC)はハブサイトで、コンストラクティブ・シミュレーションを統合して師団レベル以上の シミュレーション演習を行う」
「サガミMCTC(スポーク)。サガミ補給廠内。シミュレーション、連合、ゲームツールを使って、在日米陸軍部隊に常駐部隊任務指揮 訓練を行う」
また、KBSCのシミュレーション支援業務受託に応募する業者は、7つの基幹ポストにつける要員の履歴書を用意する必要がある。その基幹 ポストとしてプログラム・マネジャーの次に挙げられているのは、韓国内のスポーク組織のサイトマネジャーと、サガミMCTCのサイト マネジャーだ。

ハワイ・スコーフィールドのBCTC(MCTCに改名)とつながっていたサガミのBCTC(MCTCに改名)は、韓国に置かれたハブ であるKBSCのもとにつなぎかえられた。

米軍再編の目玉の一つが在韓米陸軍の再編・活用であり、2012年には戦時作戦統帥権が韓国に移管されるのと同時に米陸軍第8軍司令 部が太平洋陸軍司令部に統合される見通しだ。
そうなることを前提に、サガミの任務指揮訓練センターを地理的にも近く、これまでも在日米陸軍が加わる演習に参加して、シミュレー ション支援を行ってきたKBSCの下に位置づけなおした、と推定される。(続く)

(RIMPEACE編集部)


韓国内のBCTC(ハブ)とサガミのBCTC(スポーク)がリンクされた(青丸は筆者)


2011-8-3|HOME|