CLFAソナー新装備の音響測定艦、佐世保に


コンパクト版低周波アクティブ(CLFA)ソナーを搭載して佐世保に戻ったエフェクティブ(10.10.3 撮影)


CLFAソナー搭載前のエフェクティブ。側面形の違いに注目(09.2.6 撮影、横浜ノースドック寄港中)

9月30日、音響測定艦エフェクティブ(T-AGOS 21)が佐世保基地に入港した。5ヶ月以上われわれの前から姿を消していた船だ。
「しばらく見ないうちに、ずいぶん太ったな」と言われるくらい外観が変わっている。

潜水艦の居場所を遠距離から特定する「切り札」の音響測定艦を、米海軍は5隻運用している。以前は大西洋艦隊にも配備していたが、 今はそれも太平洋艦隊に回し、5隻全部が佐世保基地を準母港としている。どの国の潜水艦をターゲットにしているのかは、佐世保を拠 点に沖縄・ホワイトビーチを前進拠点の一つにしていることからも、自ずから察しがつくというものだ。

海洋哺乳類などに悪影響がある、として問題になった低周波アクティブ(Low Frequncy Active, LFA)ソナーを搭載しているのは、大型 の音響測定艦インペッカブルだけだ。
その他のビクトリアス級と呼ばれる音響測定艦4隻には、LFAソナーは装備されていない。大型の発振装置が積み込めないビクトリア ス級に、使用する低周波の周波数を若干高くしたコンパクト(Compact)LFAソナーを配備する計画が米海軍で進行中だ。最初のCLF Aソナーを搭載したのが、予備役から現役に戻った際に搭載された音響測定艦エイブルだ。

LFAソナーの海洋生物への影響について、米海軍がまとめた環境影響評価書(2007年5月)によれば、海軍はLFAソナー搭載艦1隻、 CLFAソナー搭載艦3隻を運用する計画を持っている。エイブルに続きCLFAソナーを搭載するのはロイヤルで、その時期は 2010会計年度中、と環境影響評価書に記されていた。(3隻目は2011会計年度中にエフェクティブ)
今回佐世保に戻って来た姿を見れば、エフェクティブの順番が2番目に繰り上がったことがわかる。

エフェクティブは最後に佐世保を出た今年の4月26日までに、昨年12月以来3回佐世保に寄港していた。その後沖縄にも横浜ノース ドックにも現れなかったのは、ハワイか米本土でCLFAソナーを積み込むための船体の拡張工事を受けていたためだろう。
すぐにでも東シナ海や黄海のパトロールに出るのか、CLFAソナーの試験を繰り返すのかは未だわからないが、コンパクト版を含む 低周波アクティブソナーの装備艦が増えたことは間違いない。中国の原潜の動きなどを探り、潜水艦情報の処理に手を貸す基地として、 佐世保の基地機能が目立たないながら強化されつつある。

(RIMPEACE編集部)

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音響測定艦エイブル、現役復帰へ(2007-9-8)


CLFAソナー搭載艦2隻が並ぶ佐世保基地立神岸壁。左がエフェクティブ、右がエイブル(10.10.3 撮影)


2010-10-3|HOME|