低空飛行は訓練、米軍が認める

編集長のひとり言



 リムピース発行の「日本全国が低空飛行訓練基地に」に掲載したデータが、朝日新聞1月8日付朝刊(何と一面に)に載った。この記事に対し、星条旗新聞に「反論記事」が載った。1月17日付同紙三面下段の"Low-level flights over Japan not secret, NAVY says" という記事だ。
 「秘密のベールを剥いだ、と言うが低空飛行は秘密ではない。このデータは情報公開請求で国防総省が出したものだ」というのが主旨だが、冗談じゃないぜ。もちろん情報公開請求で出てきた文書に出ていた情報もある。その最たるものは、ルートの名前だ。中国山地のブラウンルート、九州のイエロールート、沖縄に伸びるパープルルートなどの存在は「A6の事故報告書」で裏付けられた。ではそのコースをどんな機種がどのくらい飛行したか、その目的は何か、なんてことも情報公開請求すれば教えてくれるのかね。
 まあ、こんなやりとりを繰り返していてもしょうがない。問題は、この情報が機密かどうか、ということではない。これまで知られていなかった軍事行動の一端が明るみに出たこと、そしてこの軍事行動をどう考えていくかということが大事だと思うから。
 大々的に報道されたことに対し、米軍側が反論したい、という気持ちは分からないこともない。だけど、広報担当者の話は「率直過ぎて」こちらが心配になってしまうくらいだ。「低空飛行は通常の訓練」だって? 軍人の常識から行けば当然の話だ。我々が集めてきた目撃例も明らかに訓練であることを示している。しかし..。日本の外務省は、国会答弁で決して訓練であることを認めてこなかった。今後、国会で外務省の局長さんはどんな答弁をするんだろうか。
 在日米海軍の広報担当者は、厚木基地の作戦担当士官によく話を聞いた上で「これは通常の訓練だ」と答えた。岩国基地の広報担当者は、上級司令部に細かな照会をした上で「我々は訓練を行っている」と言っている。当事者である米軍が訓練と認めていることが、日本政府にかかると「基地間移動」に化けてしまうところに、大きな問題があろう。
 もう一点、通常の低空飛行訓練で高度200フィートで飛ぶ、ということも広報担当者は話している。これまでは、500フィート以下では飛ばないようにしている、としか聞いたことがない。200フィートと言えば約60メートル。全長20メートル近い艦載機が、その三倍の高度のところを飛ぶなんて、考えただけでも恐ろしいことだ。
 星条旗新聞記事の拙訳を参照してほしい。
(98.1.19記)

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