高速輸送艦の「節季働き」


台風避難のためか? 浦賀水道航路を抜け、横浜港に向かうウェストパック・エクスプレス


横浜ノースドックBバースに接岸寸前の高速輸送艦ウェストパック・エクスプレス(10.9.17 撮影)

沖縄海兵隊の輸送のためにMSCがチャーターしている高速輸送艦ウェストパック・エクスプレスが、8月から9月にかけて横浜ノース ドックへの寄港を繰り返している。8月の寄港が3回、9月もすでに2回寄港していて、前後の寄港地は那覇軍港やレッドビーチが大半 だが、ポハンに向かったりプサンから来ることもある。

この高速輸送艦は、ある時期集中して寄港する傾向がある。昨年末から2月始めまでに4往復、沖縄・横浜間を航行している(韓国経由の こともある)
4月には沖縄・横浜間を2往復しているが、その他の月にはパタッと横浜寄港がなくなり、その期間の大部分は那覇軍港に停泊している。

横浜に来るのは、沖縄海兵隊の訓練がキャンプ富士で行われるときとか、台風避難などの場合が考えられる。この9月4日に沖縄・レッド ビーチから来たのは、沖縄海兵隊の部隊誌 "Okinawa Marine" によればキャンプ富士での砲撃訓練のため、兵士と榴弾砲を運ぶためだっ た。
SACO(日米特別行動委員会)合意に基づく、沖縄海兵隊の県道越え砲撃演習の「本土分散移転」で、今年度2回目は東富士演習場で 9月に行われる。そのために、隊員と新型の155ミリ榴弾砲M777がウェストパック・エクスプレスで運ばれてきた。
車両その他の沖縄海兵隊の装備は、別仕立てで那覇軍港から「かりゆし」が9月8日にノースドックに運び込んでいる。

09年10月末には、民間の自動車運搬船とウェストパック・エクスプレスの2隻でノースドックに砲撃演習の装備・車両を運び込んだ。 同年11月に行われた北富士演習場での実弾射撃訓練の直前だった。
このときは、演習終了後に使用した装備をノースドックから沖縄に運んだのは「ぷりんす・はやて」1隻で、ウェストパック・エクス プレスは姿を見せなかった。

昨年の北富士演習場での訓練は155ミリ榴弾砲6門、今回の東富士の訓練では155ミリ榴弾砲(おそらく全部M777)が12門 だ。参加する兵士は約390人と変わらず、車両も10両増の90両だが、榴弾砲だけが倍になっている。
この榴弾砲倍増が沖縄・富士間の輸送体制にどんな影響を与えているのか、9月末の演習終了時にウェストパック・エクスプレスが横浜に 姿を見せるのか、注視したい。

(RIMPEACE編集部)

[関連ページ]
海兵隊実弾射撃訓練の装備、NDから東富士へ(2010-9-8)


9月4日、ノースドックに到着後M777榴弾砲を降ろすウェストパック・エクスプレス
"Okinawa Marine, september 10, 2010" 掲載の "12th Marines arrive in Fuji for artillery shoot" の写真より


2010-9-19|HOME|