タイに行った陸軍揚陸艇、フィリピンなどを経由し横浜に戻る


3月27日の夕方、横浜ノースドックに戻ってきて接岸する揚陸艇キングスマウンテン。埠頭上には「お出迎え」の人びとが並んでいる(26.3.27 星野 撮影)


接岸後、キングスマウンテンから降ろしたモノを、横付けした車に運び込んでいる(26.3.27 星野 撮影)

3月27日の夕方、陸軍ラニーミード級揚陸艇のキングスマウンテン(KINGS MOUNTAIN LCU 2025)が横浜ノースドックに「帰港」した。

キングスマウンテンは2月19日に横浜ノースドックを出港し、3月3日にタイの海軍基地があるサッタヒープに入港していた。
その後、サッタヒープを3月8日に出港し、3月14日にフィリピンのスービックに入港した。3月20日に同港を出たあと、沖縄のホワイトビーチを経由して27日に横浜に戻ってきたのだった。

サッタヒープやスービックでこの揚陸艇が具体的に何をしてきたのかは、今のところ不明だ。

西太平洋、東南アジア、東アジアを移動しながら、各国との合同軍事演習や多国間軍事演習を一続きで行っていく米陸軍のオペレーションである「オペレーション・パスウェイズ 26」がすでに2月から始まっているようだが、キングスマウンテンのスービック寄港は、このオペレーションと何か関係があるのだろうか。

ところで、キングスマウンテンがスービックに滞在していたのと同じ時期に、別の米艦もスービックやマニラサウス港に入港していた。

まず、これは別の記事でも取り上げる予定だが、キングスマウンテンがスービックに滞在していた3月19日に、陸軍兵站支援艦「ブレホン・B・サマーヴェル大将」(GENERAL BREHON B. SOMERVELL LSV 3)も横浜ノースドックから広弾薬庫を経由してスービックにやって来た。
その後サマーヴェルは、スービックで入出港を数回繰り返したあと、最終的に同港を3月22日に出港した。

また、3月16日から20日にかけて、横須賀を母港とする第7艦隊旗艦ブルーリッジ(BLUE RIDGE LCC 19)がマニラサウス港に寄港していた。
3月20日には、ブルーリッジはフィリピン軍のフリゲート艦BRPアントニオ・ルナ(BRP ANTONIO LUNA FFG15)やA-29Bスーパーツカノ軽攻撃機2機、C-208B輸送機1機、ソコル捜索救助機1機、さらにフィリピン沿岸警備隊のBRPガブリエラ・シラン(GABRIELA SILANG OPV 8301)とともに、「Bilateral MCA 26-3.1」(二国間海上協力行動26-3.1)と名付けられた演習を行った。
ブルーリッジは、MCA26-3.1のあと、タイに向かい3月26日から30日にかけてレムチャバン港に寄港している。

こうした兵站支援艦サマーヴェルや揚陸指揮艦ブルーリッジの行動と、揚陸艇キングスマウンテンの動きとの関連は不明だが、米軍が「対中国」をにらんでフィリピンをはじめ東南アジア諸国の軍との関係を強めようとする活動を繰り返していることは確かだ。今回のキングスマウンテンのタイやスービック行きもその一環だったと捉えることももできよう。

また、かなり古くなったラニーミード級揚陸艇ではあっても、単独で横浜からタイまで行くことができること、そしてタイからフィリピンまで移動して行動することも可能だということを、「戦争省」や米政府にアピールして陸軍揚陸艇部隊の組織の維持拡大を図ること自体も、陸軍輸送科にとっての目的の一つだったのかもしれない。

タイやフィリピンでの活動を終えたあと、揚陸艇キングスマウンテンは「当たり前」のように横浜に戻ってきてしまった。
しかし、何度も述べてきたことだが、キングスマウンテンは2023年12月に米本土からタグボートに牽引されて横浜に運ばれてきた揚陸艇だ。
2023年3月の時点で防衛省は、横浜ノースドックに新編される揚陸艇部隊について「部隊に編入される船舶13隻は、横浜ノース・ドックに既に配置されている船舶から編入される予定であり、新編に伴う船舶の増加はない」と約束している以上、決して横浜ノースドックに配備されていてはならない揚陸艇なのだ。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)


接岸後は、乗船していた兵士と「お出迎え」の家族と見られる人びととの「再会」と見られる光景も展開された(26.3.27 星野 撮影)

陸軍揚陸艇、横浜からタイへ


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