音響測定艦の主な活動海域


US NAVY作成の低周波アクティブソナー環境影響評価書掲載の図。
LFAソナーの西太平洋での使用海域という説明がついている


4年間でLFAソナーを使った海域が、番号で表示されている

音響測定艦は沖縄近海で動くことが多い、というのが、那覇軍港やホワイトビーチへの寄港実績から見た、大まかな理解だった。 米海軍の環境評価書の記述から、低周波アクティブ(LFA)ソナーを装備した2隻の音響測定艦が、どの海域でLFAソナーをテスト しているかが明らかになった。

上の図と表で海域に番号がつけられている。1を本州東方海域、2を本州南方海域、3を沖縄南方海域、4をグアム周辺海域と呼びかえる ことにする。
LOAs(letters of authorization)は期間を表し、LOA1は2002年7月からの1年間、LOA2が次の1年間、となっている。

コリー・ショウエストとインペッカブルは横浜ノースドックを事実上の母港とする音響測定艦で、LFAソナーを装備する。
コリー・ショウエストは2003年1月からLFAソナーのテストと訓練をはじめた。またインペッカブルは2004年3月に横浜ノースドック に初入港して以来、やはりテストと訓練を始めた。

LFAソナーのテストは、本州南方海域、沖縄南方海域、グアム周辺海域を中心に行われている。小笠原諸島、マリアナ諸島、パラオ諸島、 フィリピン、台湾、琉球弧で囲まれるフィリピン海が、LFAソナーを使って、静粛なディーゼル潜水艦を遠くからキャッチする必要のある 海域なのだ。
「SURTASS LFA システムは、棚にしまっておいて、いざ武力衝突というときに使えるようなシロモノではない」(海軍作戦副部長)
海底の地形や海水温の分布など、海域特有の音響環境の中で繰り返しテストして、初めてその海域で使い物になるシステムだ。 「静粛な潜水艦」という、空母機動部隊など米艦隊にとっての大きな脅威を取り除く必要がある海域は、まずフィリピン海なのだ。

東シナ海(図の6)でのLFAソナーのテストが、06年7月まで行われていないことにも注目する必要がある。中国海軍の基地に近く 「静粛な潜水艦」がウジャウジャいるはずの東シナ海には、空母艦隊は「戦時」には近づかないということだろう。
「台湾海峡危機」の際に、横須賀やグアムから出撃する空母部隊の通り道であるフィリピン海での対潜作戦が重視されている。 沖縄東方やグアム近海での日米合同演習のシナリオにも、その海域における対潜作戦が反映されているはずだ。

(RIMPEACE編集部)

[関連するページ]
音響測定艦エイブル、現役復帰へ(2007.9.8)




(左)コリー・ショウエスト(07.12.7)、(右)インペッカブル(07.10.19)
いずれも横浜ノースドックにて。現在は2隻とも沖縄近海にいる。


'2007-12-21|HOME|