ビンセンスとカッシング、ついに引退へ
若返りと戦力強化に向かう横須賀の艦船


横須賀を去り退役予定のビンセンス(右)とカッシング(05年2月1日撮影)

在日米海軍が2月14日に、横須賀常駐艦の交代予定を発表した(NAVY NEWS RELEASE 05-05
駆逐艦カッシングと巡洋艦ビンセンスをイージス駆逐艦ステゼムとラッセンに交代させる、というもの。 4月にカッシングが横須賀を出発、ステゼムが6月に入港予定。またビンセンスが6月に出港し、ラッセンが9月に横須賀に来るとのことだ。

スプルーアンス級駆逐艦は退役が進み、横須賀にいたオブライエンも米本国で退役している。カッシングの退役も既定方針だった。またイージス巡洋艦は、一番艦のタイコンデロガからポート・ロイヤルまで27隻が建造されたが、VLSを装備していない初期型の5隻については順次退役が進んでいる。ジェーン年鑑によれば、ビンセンスとトーマス・ゲイツが05年中に、そして最後のヨークタウンが06年に退役する。

これらの「老朽艦」と交代するアーレイバーク級駆逐艦も3世代に分類されるが、MD(ミサイルディフェンス)の探知方に組み入れられる計画のステゼムは第2世代、ラッセンはヘリ2機を装備してVLSのセル数も増える最新の第3世代に属している。NAVY NEWS RELEASE 05-05にあるように、新しい、またはより戦闘能力の高い艦船への入れ換えだ。

キティーホークがイラク攻撃のためペルシャ湾に派遣されたときに、2003年2月から9月にかけて原子力空母カールビンソンが、極東の留守居役として派遣された。ラッセンはカールビンソンに随伴して、この西太平洋クルーズに加わり、03年7月に佐世保に一時寄港、8月16日から佐世保に一週間寄港したあと、9月5日に横須賀に寄港した。横須賀ではドック入りして10月4日まで滞在している。

この2隻ずつの交代が完了すると、横須賀にはアーレイバーク級駆逐艦が5隻配備されることになる。このクラスの駆逐艦は、2月10日の上院軍事委員会の事前陳述書の中で、海軍作戦部長が述べているように、将来にわたって海軍艦隊の「馬車馬のような働き手」と位置付けられている。発注済みを含めると62隻となる。日本近海でのMDにも動員されるが、この事前陳述書によれば、今後4年で艦船18隻をMDに対応出来るようにするという。06年までにMD対応が完了する、という以前の計画から遅れが出ていることも、注目しておきたい。鳴り物入りでスタートしたMD計画の、実現可能性にかかわる問題でもある。

(RIMPEACE編集部)



原子力空母の随伴艦として、横須賀に寄港したラッセン(03年9月撮影)

[参考ページ]

  • レイク・エリー、新潟に入港(04.10.11更新)

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