ヨコスカ平和船団より沖縄県与那国町長さんへ

米艦船の与那国寄港反対の姿勢を強く支持します


与那国町長 外間守吉様

米艦船寄港に関しての激励

2007.6.15 ヨコスカ平和船団 担当:新倉裕史
神奈川県横須賀市本町3-14 山本ビル2F
 TEL/FAX:0468-25-0157

 突然の、しかもメールでの要請(激励)をお許しください。
 私達は、米海軍基地が置かれている横須賀で活動をしている、ヨコスカ平和船団と いう市民団体です。米艦船が、日本各地の民間港への寄港を繰り返していますが、私 達が生活している横須賀を拠点とするの米艦船も、各地の港への寄港を繰り返してい ます。79年の新ガイドライン合意以後に急増した米艦船の民間港への寄港は、年々 軍事色を濃くしているというのが、艦船の動きを追跡してきた、私達の実感です。昨 年2月には、長崎市や長崎県の寄港回避要請を無視して入港したイージス艦「ステザ ム」に関して、批判的な論説を掲載した長崎新聞に対し、在日米海軍司令官が「反論」 の掲載を求めるという動きもありました。
 多くの民間港にとって米艦船は、「歓迎できないお客様」と見られています。私達 は入港予定地のみなさんと連絡をとりながら、民間港への軍艦の寄港が中止されるこ とを願って、ささやかな取り組みを継続してきました。

 6月12日の八重山毎日新聞を読みました。外間守吉町長が、米海軍掃海艦の寄港 問題に対処する基本姿勢として(1)住民感情(2)3市町での整合性(3)米掃海艦の寄港が 港の開港とみなされるか(4)住民の安全・安心―の4点を挙げ、「現時点では反対せざ るを得ない」と述べられたことを知りました。
 これまで、米艦船の寄港問題に直面した多くの自治体は、核兵器搭載の有無、安全 の確保、バースの使用状況の3点を掲げ、受入の是非を検討してきました。私達が知 る限りでは、この3項目に「市民感情」を付け加えた小樽市が、例外的な存在でした。  こうした民間港への米艦船寄港の現状から考えても、今回、与那国町の掲げた4項 目は、画期的なものだと思います。小樽市に続いて「住民感情」を掲げる自治体が表 れたことは、この問題に悩んでいる、多くの自治体を励ますに違いありません。4項 目を堅持して、外務省や米軍との交渉に、臨まれることを、遠く横須賀の地より願っ ております。

 外間町長が、日米合意議事録では、地位協定第五条で指す「日本の港」について 「通常開港」としていることに関して、台湾のチャーター船の与那国入港を日本政府 が出入国管理施設などの未整備などを理由に認めていない点を挙げ、「同じ港でも台 湾は駄目で、米軍は入港できるというのはおかしい。日本政府の姿勢を見極める千載 一遇のチャンスで、対応次第では今後の交渉にもつながる」と述べられたことにも、 注目しないわけにはいきません。
 これまでにも日本政府は、米艦船の寄港を優先するために、国内法も、地位協定の 取り決めさえも無視するということを繰り返してきました。米艦船の民間港への寄港 問題は「国の専管事項だから自治体は口を挟むな」といわんばかりの対応が数多くあ りました。そうした対応のしかたに、外間町長は「まった」をかけたのです。

 私達は、「港湾法」に基づく自治体の港湾管理権はとても強く、その強さは地位協 定5条にも負けないと考えています。強さの一例を以下にあげてみます。
 「米軍艦船が地方公共団体の管理する港湾施設を使用しようとする場合、周辺事態 においても、通常と同様、地方公共団体の長(港湾管理者)の許可を得る必要がある」  この文章は、「周辺事態法9条の解説」という、日本政府が自治体に配布した冊子 に書かれています。有事(周辺事態)の時でも、自治体の持っている港湾管理権は封 印されず、その時にも「通常と同様、地方公共団体の長(港湾管理者)の許可を得る 必要がある」と、政府は解説します。注目すべきは、平時において米艦船の入港は港 湾管理者である自治体の「許可」が必要、というところです。

 米軍が寄港を強行した場合は、物資や燃料の補給、住民との協力など、米軍の要請 に応じないという、外間町長の決意に、心打たれるものですが、米艦船は港湾管理者 の「許可」なくしては寄港できないという点に、まずご留意いただければと思います。

 この問題に関心をよせる多くの市民が、そして米軍艦船の寄港に悩んでいる自治体 が、外間町長がんばってください、と応援しています。
 基地の町の市民からの激励のメッセージです。お受け取りいただければ幸いです。 よろしくお願いいたします。

(ヨコスカ平和船団)



横須賀基地入港中の掃海艦ガーディアンとパトリオット。後方には空母キティーホークの飛行甲板が見える
(07.1.31 撮影)


[参考ページ]佐世保の掃海艦、フィリピン海に展開 (2007.6.20)


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