CV−22の訓練内容をオスプレイ横田配備レビューから探るー6

CV−22の訓練空域直下での野生生物への影響は?

『CV−22のローター・ウォッシュの影響を受ける飛行場区域に巣が位置している場合、地上営巣性の鳥類に影響が及ぶ可能性がある。』
環境レビューの日本語訳でも飛行場周辺で鳥類に影響が出る可能性が認められている。では、訓練空域の下に生息する野生動物に、CV−22のローター・ウォッシュの影響はないのだろうか?

訓練空域では高く飛ぶから影響はないのか?いやいや、CV−22はとんでもなく低いところを飛ぶ。


米空軍のCV−22作戦手順書(2011.11)より、CV−22の最低飛行高度

オスプレイが普天間に配備される3月前にアップしたページオスプレイが低空飛行ルートを飛ぶ−8    CV−22の墜落事故と低空飛行訓練(2012-7-10)で掲載した表だ。航空法の飛行高度高度制限の一つ「高度500フィート以上」をはるかに下回る高度が並んでいる。

普天間配備レビューの中でも、オスプレイの実際の飛行コース・高度などを集めた図の中に、高度300フィートで飛ぶレグを含む訓練コース(SWN−2L)がある。
このコースはさらに琉球病院の上300フィートを飛ぶことになっている。

防衛省・外務省連名の「MV−22の沖縄配備について」(2012.9.19)では「運用に関する安全性」の項で「MV−22の日本における運用に関して以下の通り日米合同委員会に置いて合意。」として「低空飛行訓練について、最低安全高度(地上500フィート)以上の高度で飛行し、原子力エネルギー施設、史跡、人口密集地域等の上空を回避すること」「米軍施設・区域周辺における飛行経路について、可能な限り学校や病院を含む人口密集地域上空を避けるように設定し、可能な限り海上を飛行すること」をはじめにあげている。

環境レビューは、絵空事だけで作っているわけではない。実際の(予定)訓練コースを集めて環境に対する影響を評価する。このSWN−2Lのコースも、飛ぶことを前提に環境レビューの付録に収録された。このコースを飛べば、上記の日米合意を破る飛行となるのは、レビューの数字からも、病院の存在からも明らかだ。

日米合意があるから500フィート以下は飛ばない、したがって野生生物に対する影響もほとんどない、というのは、破たんした説明だ。

(RIMPEACE編集部) 


オスプレイの飛行コースの中のSWN−2L。レッドビーチのヘリパッドSWANを離発着する。AGLが地上高度で、単位はフィート。(環境レビューの付属文書より)


2016-4-8|HOME|