オスプレイの事故率が下がらない
MVオスプレイの事故率の変遷。あるべき姿と実態に大きなかい離が
横田に配備が計画されている米軍のCV−22オスプレイ。MV−22との事故率の差があるのに、機体構造は同じだからMVと同じで安全だ、と防衛大臣は記者会見で述べた。MVも最近事故を起こしていない、と言ってるそばからハワイでMV−22が着陸事故を起こした。それ以前の、アラビア海で揚陸艦から発進したMVが出力を失い、兵士が2人機体から海に飛び降りて一人は行方不明、という事故も、クラスAの事故と認定された。
事故の回数が多いと感じる気持ちを、事故率の推移から解き明かしたのが「 さらに危険なオスプレイ・CV22が横田基地に!(8) 事故率の変遷から見た、オスプレイの危険性 」 (15.6.21) (7.16 グラフ更新)、で掲載したグラフだった。何点か修正したグラフをもとに、事故率が普通たどる降下線と、MV−22オスプレイの場合の上昇線を対比させたのが、上掲の図だ。
「一般に航空機の事故率は飛行時間の増加に伴い低減するものであり、CV−22についても、今後、この数値は低減していく見込みです」(横田基地周辺自治体への防衛省などの説明資料より)
飛行時間の増加に伴い減少するはずの事故率が、MV−22オスプレイでは逆に増えている(緑色のカーブ)。減少するイメージはグレーのカーブで示した。この2つのカーブの違いが、時間をかけてもまともな飛行機にならないオスプレイの異常さを示している。
最後に、機体構造が同じCVとMVの2つのオスプレイを同一機種としたら、この(統合)オスプレイの事故率はどんな傾向を示すのだろうか?
MVのカーブと比べて事故率の上昇性は目立たなくなる。それは、CVがフロリダの事故以降、この3年ほどクラスAの飛行事故をおこしていないので、同期間中にバタバタと事故を起こしたMVの事故率を数字の上で緩和した形になったからだ。
それでもこの期間でみても事故率がほぼ横ばいで下がっていないのは、「航空機の事故率は飛行時間の増加に伴い低減する」という一般則がオスプレイには当てはまらないことをしめしている。
言い換えれば、時間が経過し、飛行時間が増えても、オスプレイの危険性は変わらないし、安心して頭上を飛んでいるのを見ていられる飛行機には無縁のままだ。
横田基地に配備されるCV−22オスプレイの安全性の根拠として、防衛省が用いている「構造が同じMVの安全性」は、その根拠がまったく無くなってしまった。
(RIMPEACE編集部)
CVとMVオスプレイを同一機種として飛行時間、事故数を合算して算出したオスプレイ事故率の推移。数が少ないCVが事故率を大きく押し上げている
2015-7-14|HOME|