横田基地に関する調査結果の概要について
平成11年10月28日
東京都
1)調査目的及び手法
本調査では、横田基地共用化に関する基礎的データを把握し、共用化による効果・影響などを明らかにすることで、都民や関係者の理解に資することを目的とし、一般に公表されている文献、統計データを中心に検討・分析を行った
2)推計年度の設定
成田空港の暫定滑走路供用年度や第7次空港整備五箇年計画の参考資料の需要予測年度より、2002年度、2010年度及び2015年度の三カ年を設定した
3)横田飛行場における航空需要予測
需要予測
2002年度 2010年度 2015年度 国内 旅客〔万人/年〕 470 530 560旅客〔万トン/年〕 4.3 4.6 4.8国際 旅客〔万人/年〕 350 440 500旅客〔万トン/年〕 19 24 28
- 各施設までのアクセス時間の比較に基づき、横田飛行場の勢力圏を設定し、そのシェアにより航空需要を算定した
- 国内線需要については、首都圏新空港は考慮しないものとした
- 国際線需要については、羽田空港の国際空港化を考慮した
- 航空需要算定にあたっては、第7次空港整備計画及び航空旅客・貨物動態調査によった
想定される開設路線における需要
2002年度 2010年度 2015年度 国内 旅客〔万人/年(回/日)〕 220(22)
250(24)
260(26)
旅客〔万トン/年(回/日)〕 2.9 3.1 3.2国際 旅客〔万人/年(回/日)〕 160(18)
200(22)
230(26)
旅客〔万トン/年(回/日)〕 8(2)10(2)
12(2)
- 国内線は、定期幹線5路線(札幌、大阪、関西、福岡、那覇)を想定した
- 国際線は、横田からノンストップ飛行可能で、需要の大木5地域(ハワイ、北米西海岸、グアム、韓国、香港)を想定した
4)横田飛行場における民間航空機の離着陸回数
2015年推計値
54回/日
内訳 国内旅客機 26回/日 国際旅客機 26回/日 国際貨物機 2回/日
2015年度は約2万便で、現行の横田の約1万9千回を足し合わせると、約3万9千回となるー大阪(伊丹)空港の約4割程度
5)横田飛行場における軍用機等の離着陸回数(ヘリコプターを除く)
離着陸回数 低空通過(離着陸換算) 平均日 54 5(10回) 多い日 82 8(16) 少ない日 18 2(4)
- 実態調査及び騒音測定データ(昭島、瑞穂固定測定地点)から推計した
- 昭島、瑞穂固定測定地点では、NLP(夜間着陸訓練)は年間を通じてほとんど測定されていないため、NLPは離着陸回数には含まないものとした
6)共用化に伴う騒音影響予測
WECPNLの推計にあたって、次の条件を設定した
- 機種別時間帯別離着陸回数:昼間(7〜19)、夜間(19〜22)、早朝(6〜7)に区分し、米軍機は6〜22時に、民間機は7〜21時に機種別に配分した
- 飛行経路:航空機の飛行する経路を、直線進入、直線離陸とした
- 離着陸方向比率:北向きと南向きの運行を50:50とした
以上の条件に基づき、米軍機だけの場合の多い日(98回)、平均日(64回)、少ない日(22回)の3事例に、国内線(26回)と国際線(28回)を組み合わせた設定で騒音影響予想(WECPNL)を行った
現状の横田飛行場を想定し、米軍機の各コンターと民間航空機が就航した場合の各コンターとの比較を行った
- 米軍機の多い日のコンターとの比較
米軍機平均日に国内線を重ねた場合、離着陸方向において影響範囲は縮小した
米軍機の少ない日に国内線と国際線を重ねた場合、影響範囲はほぼ同じであった
- 米軍機の平均日コンターとの比較
米軍機の少ない日に国内線を重ねた場合、影響範囲は縮小した
また、米軍機の多い日に国内線(26回)と国際線(28回)を加えた場合、即ち、今回推計の最大値の場合でも、WECPNL75のコンターは、現在設定されている第1種区域(昭和59年3月指定)の範囲内にあることが確認された
騒音発生源対策
横田基地における発生源対策としては、昭和39年4月17日、日米合同委員会において、最低高度、速度の指定、夜間飛行訓練の制限等の措置により、基地周辺の航空機騒音の軽減について合意(平成5年11月、一部改正)されている
<参考>
民間航空機における一般的な航空機騒音対策
- 発生源対策--低騒音型機の導入等、発着規制、運航方法の改善
- 空港構造の改良--空港内緩衝緑地・防音林の設置
- 空港周辺対策--計画的土地利用、防音工事、共同利用施設整備、移転補償
7)多摩都市圏への影響(経済効果)
共用化による期待効果
共用前 ターミナルビル建設投資効果共用後 貨客利用効果 空港関連施設売上効果 航空貨物関連産業売上効果 国内旅客需要効果 国際旅客需要効果 航空依存産業立地効果
生産誘発額、誘発就業者数の推計
「1990年(平成2年)東京都産業関連表」を用いたモデルにより、一次波及効果を推計
2015年における経済効果
- 民間航空機54回を想定(国内旅客26回、国際旅客26回、国際貨物2回)
生産誘発額 約1,400億円 雇用誘発 約8,300人- 民間航空機26回を想定(国内旅客26回)
生産誘発額 約700億円 雇用誘発 約4,100人