前橋・渋川上空訓練は実弾爆撃訓練の前段




夜7時半に厚木基地を離陸して前橋・渋川上空の空域に向かうスーパーホーネット
(2010.3.1 すべての基地にNo!をファイト神奈川 撮影)

3月初めに、厚木の艦載機が集中的に前橋・渋川上空の空域に向かい、模擬爆撃訓練を行った。
当方で把握しているだけでも、3月1日から4日まで連日35機から38機のホーネット、スーパー・ホーネットがこの空域に向かっている 。

3月6日午前中に、4つの飛行隊から各8機のホーネット、スーパー・ホーネットが南に向かい、厚木には戻ってこなかった。硫黄島経由 でグアムのアンダーセン空軍基地に向かい、その後サイパンの北の無人島ファラロン・デ・メディニラで爆撃訓練を行っていると見られ る。
4日間の中で前橋・渋川上空に出撃しながらグアムには行かなかったのは、F型スーパー・ホーネット部隊のVFA−102所属機のうちの 3機だけだ。VFA−102の他の機体及び残る3つの戦闘攻撃飛行隊VFA−27、VFA−115、VFA−195の所属機は、1日 から4日の間に前橋・渋川上空に出撃した機体がファラロン・デ・メディニラでの爆撃訓練に向かっている。
前橋・渋川上空での艦載機の訓練が、ファラロン・デ・メディニラでの実弾爆撃訓練の前段として行われている。

今回と同様に渋川・前橋上空で対地攻撃訓練を行ったあと大挙して艦載機がグアムに向かうという事態が、2008年1月に起きている。この 時は5日間で150機近くのホーネット、スーパー・ホーネット、プラウラが厚木から渋川・前橋上空に向かった。今年の訓練ではほぼ同数 の艦載機が4日間に集中して群馬上空に殺到した。08年よりさらに訓練密度が上がっている。

旧自民党政権と米国が取り決めた米軍再編の中で、厚木の艦載機は岩国に移るという条項があった。もし本当の意味で移転するならば、 厚木から出撃して行われる前橋・渋川上空の対地攻撃訓練も無くなり、岩国から浜田上空の567エリアに海兵隊機と艦載機が対地攻撃訓練 のために殺到することになる。今でも海兵隊のホーネットが低空で飛び回り、騒音はもとより、ガラスが割れる被害も出ているこの空域の 下の住民は、この被害が倍になる。本当に岩国に移転するならば。

厚木基地周辺住民に「ばら色の夢」を振りまいている「艦載機の岩国移転」が、実は肝心のところが全く不明であり、このままでは厚木・ 岩国の両基地を艦載機が自由に使うことも考えられるのだ。
日米地位協定では「合衆国軍隊が使用する施設及び区域は、この協定の目的のために必要でなくなったときは、いつでも、日本国に返還 しなければならない」(第二条3項第一文)となっている。本当に厚木から艦載機が居なくなれば、米軍に提供している厚木基地の固定翼 機の修理ハンガーやその敷地、艦載機の訓練に提供されている大島沖の訓練空域R116は「日本国に返還しなければならない」はずだ。
米軍再編の実施の中で「岩国に移転」という言葉だけが上滑りして、艦載機移転に当然伴われるはずの「米軍の使用する施設及び区域」 の返還の話しがないままに、厚木基地をこれまでどおりに米軍が使う態勢が維持されている。

2006年5月の米軍再編「最終合意」から4年近くが経った今、「普天間の辺野古への移設」だけでなく「厚木艦載機の岩国移転」も どんどん齟齬が出てきている。

(RIMPEACE編集部)

[参考ページ]
激増、渋川・前橋上空対地攻撃訓練(2008-2-6)

厚木のスーパーホーネット 模擬爆弾下げて前橋上空へ (2010-3-4)


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