厚木艦載機の岩国移転話 ・・ 2本目の馬脚は?

米海軍基地司令官の「厚木居座り宣言」

空母着艦資格取得訓練中、艦載機は厚木から飛ぶという厚木基地司令官の話を、朝日新聞神奈川版(06.2.8)が伝えた。爆音被害の最大要因が実は移転しないというひどい話だが、そのほかにも注目すべきコメントがある。

その中の一つが、岩国の周辺海域では艦載機の訓練と空母が往来出きる海域が見つかっていない、というものだ。
おいおい、冗談も休み休み..、と言いたくなる。岩国の海兵隊が訓練でもっとも多用しているのが、四国沖のリマ空域だ。ペルシャ湾まで出張っていく空母が、四国沖にだけは行けないとでも言うのだろうか。それとも訓練のためだけには横須賀から四国沖くんだりまで移動したくはない、ということなのだろうか。(取材記者はそのへんを突っ込んでほしかったネ)
艦載機は、横須賀の空母以外の艦船ともさまざまな訓練を行っている。対艦攻撃・対空防御訓練、電子戦訓練などもその中に含まれる。この場合も、岩国移転後の艦載機は厚木を使うのだろうか。

厚木基地司令官はまた「海上自衛隊との共同演習のために艦載機が厚木基地に発着する可能性も指摘」したという。「厚木基地でせっかく築き上げた自衛隊との協力関係を崩したくない」とは何とも理解できない理屈だが、厚木基地を使い続けたいという「熱意」だけは伝わってくる。
この司令官は一年前にも「空母艦載機移転後も厚木基地の重要性は変わらないと強調」している(沖縄タイムス 06.2.9)
米海軍は「艦載機の岩国移転」を「完全に厚木から艦載機がいなくなる」とは考えていないことを、同司令官は機会あるごとに語っていると見ていい。それは、「岩国への艦載機の移転」を今回の米軍再編の目玉として印象付けたい日本政府と、米軍の意志が実は食い違っていることの反映ではないか。

本当に厚木から岩国に艦載機が移転するのならば、厚木基地内の艦載機の格納庫など米軍専用施設は、日米地位協定により日本側に返還されなければならない。また艦載機の訓練が行われている訓練空域R116(大島沖の空域)も返還されなければならない。
その上で、着艦資格取得訓練とか海自との訓練とかで臨時に厚木基地や訓練空域を(けしからん事だが)使うというのなら、自衛隊との共同使用などの手続をとることになる。

艦載機が厚木にいたが故の提供施設や空域を、地位協定2条に基づき日本側に返還しないと「艦載機の移転」は完了しない。ずるずると今の提供形態を変えずに、岩国と厚木の両方の基地から艦載機が発進して訓練を行うのでは、「艦載機の岩国移転」は厚木基地周辺の自治体や住民を惑わす「まやかしの移転」に他ならない。
厚木基地司令官の言葉には、厚木基地を使い続けるという米海軍の本音が常に見える。それは、厚木基地への居座り宣言なのだ。

(RIMPEACE編集部)

このページを作るにあたってのネタモト、朝日新聞神奈川版記事のアドレスは、
http://mytown.asahi.com/kanagawa/news.php?k_id=15000000702080004 だ。
一読して分かるように、基地司令官の言い分を述べただけのもので、周辺自治体のコメントさえ載っていない。厚木基地の広報記事と言われてもおかしくないものだ。米軍再編の本質を伝えるトクダネなのだろうから、この後の紙面でのフォローに期待したい。朝日新聞が、米軍の広報もどきの記事だけを載せるとは到底思えないのだが。

[参考ページ]
マヤカシの艦載機移駐は許さないシリーズ (06.3.3)
2.艦載機移駐後の訓練空域はどうなる?
3.艦載機の格納庫・駐機場区域はどうなる?


'2007-2-11|HOME|