マヤカシの艦載機移駐は許さない

3.艦載機の格納庫・駐機場区域はどうなる?

厚木からジェット艦載機とE2C(全部で57機)の艦載機が移動すれば、今この部隊が使っている格納庫とその前の駐機場は、艦載機が使用しなくなるはずだ。

 合衆国軍隊が使用する施設及び区域は、この協定の目的のため必要でなくなったときは、いつでも、日本国に返還しなければならない。合衆国は、施設及び区域の必要性を前記の返還を目的としてたえず検討することに同意する。(日米地位協定第二条 (施設・区域の提供等)3項 )

「これらの措置は、新たな脅威や多用な事態に対応するための同盟の能力を向上させるためのものであり、全体として地元に与える負担を軽減するものである。これによって、安全保障が強化され、同盟が地域の安定の礎石であり続けることが確保される。」(中間報告の概観より)

艦載機が移駐して「安全保障が強化され」るというのなら、まさに移駐後の厚木基地の艦載機の施設・区域は「地位協定の目的のため必要でなくなったとき」に該当する。地位協定第二条1項(a)に基づいて提供された格納庫や駐機場の区域は「日本国に返還されなければならない」
それで初めて「厚木からの移駐」が完成する。

ところが、米軍はそんなことは考えていないようだ。
「米軍厚木基地(神奈川県)司令官のジャスティン・クーパー大佐は八日、米軍再編に伴う空母艦載機の岩国基地(山口県)の移転について「兵舎や整備場、学校などの整備のため最終報告合意から十年は必要」との見通しを明らかにした。同基地を視察した県議会米軍基地関係特別委員会(伊波常洋委員長)に答えた。」
「クーパー大佐は、空母艦載機移転後も厚木基地の重要性は変わらないと強調。滑走路沖合移設後も、格納庫や整備場、兵舎、学校の整備などが必要とした。」(沖縄タイムス2006年2月9日)

ジェット艦載機が移駐すれば爆音も事故の危険性もなくなる、と多くの人が受けとめている。しかし、このままでは、艦載機が移駐しても厚木基地は従来通り使用され、爆音も事故の危険性もなくならないのではないか、と懸念される。
その懸念を払拭するためには、現時点で「地位協定第二条1項(a)に基づいて提供された格納庫や駐機場の区域」は艦載機が使用せずに返還されることを日本政府が確約する必要がある。

今問われているのは、中間報告に盛りこまれた「厚木基地からの艦載機の移駐」の内実だ。 移駐という言葉に酔うのではなくて、本当に艦載機が厚木から居なくなることの確証をとることだ。その説明責任が日本政府にあるし、基地周辺自治体はその確約をとらなければ、住民に対する責任は果たせない。

(岡本聖哉・大和市議、金子ときお・相模原市議、編集部)


神奈川の米軍基地(神奈川県発行)より


マヤカシの艦載機移駐は許さない 目 次
1.はじめに

2.移駐後、訓練空域はどうなる?

3.艦載機の格納庫・駐機場区域はどうなる?(このページ)

4.最悪のシナリオを避けるために


マヤカシの艦載機移駐は許さない 秘密空域の存在
米軍公式文書が語る、艦載機の訓練空域の実態

資料1. 日本周辺の訓練空域

資料2. 訓練空域設定関連の国会審議と、米軍空域設定の「根拠」

資料3. 事故当日の厚木の艦載機の飛行計画書


'2006-3-3|HOME|