沖合移設「埋立訴訟」4年の審理終え結審、6月6日判決へ!
岩国基地を上空から見た写真(2010.12.17 撮影)
4月11日、山口地裁で岩国基地沖合移設埋立承認処分取消請求訴訟の第18回口頭弁論が開かれこの日結審した。この裁判は筆者を原告団長に、他17人の市民が原告となって防衛省が実施し
滑走路移設事業の埋立手続きを承認した「県知事」の行政手続きを取り消せという争い。山口県知事は沖合移設の大きく逸脱した事業目的を甘く判断し、防衛省の埋め立て行為を安易に承認した
ことは誤りだという指摘である。
この裁判は08年2月7日の提訴以来この日まで、実に18回の審理が山口地裁で延々と行われた。沖合移設事業は岩国市民が「悲願」というまくら言葉まで付け、「墜落の危険の回避」や「騒音の
軽減」などの効果を求め30年間の要望活動の末に実現した事業。それが事業完成をあと数年という時期から目的がすりかわり、米軍再編計画で岩国基地へ神奈川県の厚木基地から空母艦載機を移転
させるという国の方針を推進する事業にすりかわってしまった。もともと沖合移設事業は当初、今の岩国基地の海兵隊部隊の迷惑に対応する事が目的だったのに、これでは新たな基地機能の受け皿
作りに利用されただけで岩国市民はすっかり騙されたことになる。
法廷で被告の山口県は移設事業が既に完成しているという論点を終始主張、いたずらに審理の引き延ばしに務めその間に工事を急いだ。こうして工事は順調に進み、一昨年の5月からは新滑走路
の運用を始めた。しかし埋め立てられた基地では新滑走路完成後も再編関連工事が進み、事業そのものはまだ終っていない。
11日の最終審理では筆者は最後の意見陳述に立ち、30年前に東京の砂防会館で行った移設事業の決起集会で
参加者に反対ビラを配ったことや97年6月の起工式で会場沖の海へゴムボートを浮かべ
反対行動をしたことなどこれまで一貫して移設事業の不当性を訴えてきたことを紹介した。こうしてこの陳述で審理はこれですべて終了し、裁判長は6月6日判決を言い渡すことを告げ閉廷した。
岩国市民は米軍再編という嵐の中で、厚木艦載機部隊の移転や沖縄・海兵隊部隊、オスプレイの配備など際限もなく続く基地機能強化の動きをこの裁判で食い止めたいと6月6日の判決を期待し
て待っている。
(2012年5月1日 岩国市議会議員 田村順玄)
[関連ページ]
2008年(平成20年)(行ウ)第6号 埋立承認処分取消請求事件 陳 述 書(2011年1月11日)
沖合移設事業が未だ継続中の岩国基地 (2012.4.12 撮影)
2012-5-1|HOME|