艦隊病院の機能を見る


相模補給廠の「医療倉庫」建設の計画書には、『この倉庫の設計は、1000床規模のコミュニケーション・ゾーンの海軍艦隊病院の基準と基本的には同じだ』と書かれている。DEPMEDSのシステムは、海軍の艦隊病院をベースに考えられたものらしい。また、88年度思いやり予算で、佐世保基地赤崎地区の燃料施設に建設する海軍病院の設計が終わった、との記述も、別の資料にある。

戦闘遂行システム

計画書に添付された海軍艦隊病院の一般資料によれば、艦隊病院は250床・500床の戦闘地域の艦隊病院と、500床・1000床のコミュニケーション・ゾーンの艦隊病院に分かれる。後者は病院機能を立ち上げた時に、病室に転用出来る倉庫のことだ。 艦隊病院の目的は4つある。限定的な処置で、有能な兵士を戦闘に戻すこと。戦闘行動を支えるために、世界のどこにでも素早く展開すること。外国での医療施設の不足を補うこと。空輸する患者の数を最小にすること、である。要するに、効率的に戦闘を遂行するための病院なのだ。 コミュニケーション・ゾーンとは、戦域の中にあって戦闘エリアの外側の安全なエリアを指している。「医療倉庫」を『コミュニケーション・ゾーンの海軍艦隊病院の基準と基本的には同じだ』と言って相模補給廠に建設するのは、神奈川が戦闘エリアには含まれないが、戦域の中にあるという想定があるからだ。「艦隊医療支援の図」は、日本海で戦闘中の空母に、コミュニケーション・ゾーンである日本に建てられた艦隊病院が支援を行う図に見えないだろうか。

金子ときお・相模原市議

(初出 相模補給廠監視団ニュース 97.5)


'2000-8-20|HOME|MEDEX昼夜連続訓練近づく|演習用の地図を読む|相模補給廠の軍事医療施設を追う|