PCB、カナダへ搬出開始

PCBが保管されていた、相模補給廠の172番倉庫からCOSCOのコンテナに積み込まれる
トランスとドラム缶(3月18日)



 日本国内の米軍基地で使用したトランスなどのPCB(ポリ塩化ビフェニール)含有物が米陸軍相模総合補給廠に保管され、その安全性の確保と米国への搬出を相模原市や市民団体・相模補給廠監視団が求めていた問題で、私(金子)は17日「PCB含有物の一部90トンが近く搬出される動きがある」と、保管倉庫から搬出用コンテナに積み込まれる様子の写真を発表、22日の相模原市議会本会議で取り上げ『一日も早い全面撤去と安全な管理、今後の搬入をさせない取り組み』を提起した。
 なお、PCB含有物を積んだコンテナ14基は23日相模補給廠から民間のトレーラーで搬出され、カナダに向かった。
 相模補給廠のPCB含有物については昨年2月、「相模補給廠に全国の米軍基地からPCB含有物が運びこまれ、一部の大型トランスなどは野積みされ、基地開放日には危険性を知らされていない市民が近くで遊ぶなど、管理に問題がある。安全な管理と米本国への搬出を求める」と保管倉庫のPCBと表示した写真を発表、3月議会で取り上げ、市の対応を迫っていた。
 その後、6月議会、9月議会と毎議会でその後の動きを報告、12月議会では米情報公開法で入手した相模補給廠のPCB含有物のここ数年の搬出入の記録と今後の搬出の契約書の分析結果を発表、同基地には少なくとも226件、135トン以上のトランスなどのPCB含有物が保管され、それらは日本全国の米軍基地から搬入されたものであることも確認、相模原市の問い合わせに何等回答しない米軍や防衛施設庁の対応を批判した。
 こうした中での、今回の搬出作業。3月初めより監視行動を強めていた相模補給廠監視団や私が野積状態にあった大型トランスが撤去されたのを確認後、PCB含有物が保管されていた172号倉庫の前に搬出用のコンテナ6基が並んだのを目撃、警戒を強めていた矢先、3月15日付けの米軍準機関紙星条旗新聞はこうした動きを伝え、搬出の詳しい予定などを報道した。
 3月16日には、近くの団地の上から見ている目の前で、倉庫からドラム缶やトランスなどが透明のビニールで覆われ木枠に梱包されて、コンテナに収納されるのを確認、写真に収めた。コンテナはさらに増え最終的には14基に。23日午前、横浜に運ばれカナダのバンクーバーに向かった。
 22日相模原市議会本会議の一般質問で私は『PCB含有物が例え一部でも搬出されることは歓迎するが、この間、市として国や米軍から情報が得られないのは問題だ。また、今後さらに相模補給廠に他の基地から搬入の恐れもある、今後あらたにPCB含有物が搬入されないような
市としての取り組みを』と訴えた。
 また、この日の星条旗新聞は相模補給廠から23、4の両日PCB含有物が搬出されるが、今回の物は50ppm 以下の物で、約90トン。カンダのバンクーバーに運ばれると報じた。
 相模補給廠監視団によると実際に運び出されたのは23日の午前9時20分頃。最初に10基のコンテナが、続いて4基のコンテナが出された。(相模原市議会議員 金子 豊貴男)
PCB汚染物を横浜に運んだCOSCOは、香港の海運業者。この会社の輸送スケジュールの中に、横浜から米西海岸経由でカナダのバンクーバー行きの船(LU HE号)がいた。この船がPCBを積み出すと見て間違いないだろう。
(訂正)(2000.4.8)
AP通信によれば、このPCB汚染物を運んだのは、同じCOSCOの船WAN HE号。3月23日つまり相模補給廠から搬出されたその日のうちに、横浜港で積み込んで出港したことになる。この船が途中のシアトルでPCB汚染物の荷揚げを拒否されたニュースは別項参照。

'2000-3-31|HOME|