洋上作戦艦の動き


2006年に佐世保に入港した米軍の艦船隻数は05年の減少から一転して大きく増加し、04年を上回る220隻となった。このうち作戦艦が増加(52回から85回に)した理由は
1、16年ぶりに空母が2隻入港した。
2、横須賀を母港としている駆逐艦などが日本海に展開する途中、たびたび入港した。
3、佐世保を母港としている揚陸艦隊が、06年は東・東南アジアから出ず、周辺での訓練に頻繁に出参加した。
4、ドック型揚陸艦が交代した。
ことによるものである。

 このうち5月に入港した原子力空母エイブラハム・リンカーンの寄港では準備期間が約3週間(前回04年では約1月間)までに短縮された。米軍基地や民間支援業者など受け入れ側の迅速かつ短期間での役務提供や物資補給を求められたが、卵や野菜などの生鮮食料品あるいは上陸した乗組員用の貸し切りバスなどは市場規模の小さい佐世保およびその周辺では必要量を調達できず、県内各地や市場規模の大きな福岡周辺から買い集められた。結果として空母入港が佐世保の経済に「貢献」しなかったと地元経済界からの不満が目立った。
 空母リンカーンの随伴艦のうち駆逐艦シャウプが清水港、駆逐艦ラッセルが高知県宿毛湾港、巡洋艦モービルベイが横須賀港にそれぞれ分散して入港した。

 11月に寄港した空母キティホークは以前から退役前の「ラストクルーズ」が計画されていたが、朝鮮(DPRK)が核爆発実験を行ったことから一転して緊張した中での入港となった。
 横須賀を母港としているイージス艦の入港も相次いだ。ミサイル防衛(MD)計画が進展する中、日本海での実証実験の途中に入港したと思われるが、弾道ミサイルを追尾する能力を持ったオブザベーション・アイランドの入港も相次いだ。
オブザベーション・アイランドは赤崎岸壁では短期間停泊、立神岸壁では長期間停泊という傾向がある。これは警備体制が軽い赤崎岸壁では燃料などの補給、米軍基地の中心にあり警備が厳重な立神岸壁では作戦指令の伝達や収集した情報の引渡しなどと入港目的によって接岸場所を選択しているためだろう。外国の弾道ミサイル発射監視だけがこの船の任務ではないようだ。

(RIMPEACE編集委員・佐世保)


作戦艦の入港数の推移(5年間)


  • はじめに
  • 補給・補助艦船の動き

    '2007-1-20