なぜ腐食性液体が混じる?GW修理の放射性廃棄物


この13号バースに貨物船が入り、空母の横の大クレーンで廃棄物が積み込まれる
(10.3.28 ヨコスカ平和船団撮影)

ジョージ・ワシントンの定期修理で出た放射性廃棄物を米本国に送る貨物船チャーター契約の募集要項(RFP)には、放射性物質ととも に腐食性液体が入った容器が混じるコンテナがある、と書かれていた。なぜ腐食性液体も一緒に本国へ送らなければならないかについて は、触れられていない。

フロリダ州メイポート基地を原子力空母の母港にする場合の環境影響調査(アセス)で、米海軍が出した最終報告書の第5章「原子力空母 母港化と放射能」の中で以下のように述べている。


5.4.3.3 有害・放射性混合廃棄物
 有害廃棄物とはもし適切に扱われなければ人間の健康や環境に潜在的脅威をもたらしうる廃棄物である。これらの物質は有毒、腐食性が ある、引火しやすい、あるいは化学反応を起こす(これには原子力エネルギー法で規制されている放射性物質は含まれないことに留意する こと)。放射性廃棄物は原子力エネルギー法の下で規制されている放射性核種を含む廃棄物である。
海軍原子力推進プログラム(NNPP)の活動の結果生成された混合廃棄物は化学的に有害な廃棄物と低レベルの放射性廃棄物の混じったもので ある。NNPP内では混合廃棄物発生の可能性を少なくするために放射性物質と化学的に有害な物質の混合を防止するための組織的努力を行っ ている。
例をあげると、処理容器の中で有害な溶媒、鉛ベース塗料、鉛系の遮蔽の使用を避けることなどがある。放射線作業で化学的に有害な物質 の使用を避けるというNNPPの努力の結果、NNPPの活動では、敷地内での処理の後に敷地外での処理を要する混合廃棄物は各年に通常20立方 メートルを排出する。

どんなに努力しても放射性廃棄物に化学的に有害な物質が混じった混合廃棄物は各年に通常20立方メートルほど出る。化学的に有害な物質 には腐食性のあるものも含まれる。今回の貨物船による輸送でも、放射性廃棄物と分離できない腐食性液体が容器に詰められ放射性廃棄物 の入ったコンテナに混載される、と考えられる。

放射性物質を溶かし込んだ液体であり、「低レベルの放射能にさらされたものが収められている」という「米海軍から横須賀市への 情報提供」から受け取られるレベルよりも高い放射能を持った廃液ではないのだろうか。

なお、RFPの中にある腐食性液体の危険物コードUN3264,UN3266は、その他の腐食性物質(無機物)(液体)で、3264が酸性、3266がアルカ リ性のもの、を指している。

(RIMPEACE編集部) (最終報告書の翻訳は「非核市民宣言運動・ヨコスカ」YJさん)

[参考ページ]
横須賀基地からピュージェットサウンドへ 放射性廃棄物運搬船、4月14日横須賀入港か(2010-3-14)
コンテナは3つ、GW修理の放射性廃棄物搬出(2010-4-8)


2010-4-10|HOME|