再度問う、オスプレイの危険性−7

危険な編隊飛行繰り返すオスプレイ


岩国基地から8機同時に離陸したオスプレイ(2013.8.12 撮影)

機体そのものに危うさを内包しているオスプレイ。そのオスプレイが、危険な運用を繰り返したらどうなるのか。

軍用機は、お互いに援護したり、敵の目を欺くためなど作戦行動上編隊飛行を行う。一般に編隊飛行は機体が接近して飛ぶために、接触などの事故が起きやすい。さらに、先行機の後方乱気流の 影響を受けやすい。

オスプレイが普天間に配備される直前、2012年6月にフロリダで起きたオスプレイ(CV−22)の墜落事故は、2機編隊で低空飛行をしていたうちの一機が、先行機の後方乱気流に巻き込まれたの が原因だった。

固定翼機の方がヘリに比べて後方乱気流の影響による偏差が大きい。宇宙航空開発研究機構(JAXA)がシミュレーターを用いた実験を行った。固定翼機の方が影響が大きいことを示すグラフが、 JAXAのレポート「大型航空機の後方乱気流が小型機に与える影響に関する研究」(奥野善則・又吉直樹、2008年2月)に載っている。

オスプレイはヘリであると同時に固定翼を持つため、この後方乱気流の影響を大きく受ける。その結果、フロリダでの墜落事故が起きた。ブラックホーク・ヘリだったら墜落しなかっただろう、と いう見方が元国防次官補から示された。

後方乱気流を避けて飛ぶには、機体同士の距離を大きくとるか、渦が消えるまで待つほかない。実際、民間空港の離発着では、管制間隔を小型機同士なら3海里とっている。

オスプレイの沖縄配備の直前に、安全確保のため日米が合意した中には、以下の取り決めが含まれていた。(2012.9.19 防衛省)

「フロリダにおけるCV−22事故のような低空における近距離での編隊飛行訓練は可能な限り認められた施設・区域内においてのみ実施すること」

つまり、機体間隔を十分にとりなさい、基地周辺での編隊飛行なんてとんでもない、というのがオスプレイ配備前になされた取り決めだ。


普天間基地に3機編隊で着陸するオスプレイ(2014.10.24 撮影)

そのオスプレイの編隊離陸、編隊着陸が、普天間や岩国で頻繁に行われている。離陸・着陸の場合は飛行高度が低い。飛行コースが限定され、編隊飛行の航空機が先行機の後方乱気流の渦にはまり やすい。

まさに日米で「可能な限り避ける」と合意したはずの飛行が、繰り返し行われているのが、オスプレイが配備され、飛来して訓練を重ねる沖縄や岩国の現状だ。

(RIMPEACE編集部)

[参考ページ]

  • 続・オスプレイ普天間配備の危険性 その4 オスプレイと後方乱気流(1) 事故報告書は語る(12.9.16更新)
  • 続・オスプレイ普天間配備の危険性 その5 オスプレイと後方乱気流(2) 発生源としてのオスプレイ(12.9.16更新)
  • 続・オスプレイ普天間配備の危険性 その6 オスプレイと後方乱気流(3) ヘリは乱気流に強い、ではオスプレイは?(12.9.16更新)


    後方乱気流のイメージ(国交省交通政策審議会航空保安システム整備部会参考資料より)


    2014-12-6|HOME|