第1軍団司令部座間移駐の目的を推察する

C 第1軍団は、有事に数万の規模で増強される


何度も繰り返すが、なぜ第1軍団なのか? なぜ座間(もしくは日本)なのか? という問いに、提案した米側からのきちんとした説明がない。だから、「不安定の弧」に近いほうがいい、などという情緒的な解説が流される。(近いほうがいいなら、弧の真中のシンガポールかタイに行けばいいじゃないか、と茶々を入れたくなる)

司令官の星の数についても同じだ。大将だからえらいというのは表面的な話しで、米軍の中では指揮する部隊の大きさや任務に従って司令官の位は決まる。責任重大な仕事なので大将が任命されるのであって、大将だから司令官になる、というわけではない。

その意味で興味深かったのは、2004年12月19日付け毎日新聞記事「座間の陸軍司令部 指揮権は極東有事に限定」の中の次の一節だ。
『11月の審議官級協議で、米側は「アジア太平洋地域で作戦指揮権を持っているのは太平洋軍司令官だけだ。キャンプ座間に移転する司令部に平時の作戦指揮権はない」と強調したうえで、極東地域の紛争に在日米軍が出動する場合に限り、陸海空と海兵隊の4軍の統合指揮権を第1軍団司令官に与える案を示した。』
この記事は、第1軍団司令部の指揮権は極東に限定される、というのが主要なテーマなのだが、在日米軍の統合指揮権を陸軍の司令官が持つ、というところが極東有事の際の第1軍団の規模を示唆している。
地域統合軍の司令官は通常、一番大きな部隊など、その地域の統合軍の中核となる軍から出る。今の在日米軍の構成は、在日米軍司令部広報部の資料を見れば一目瞭然だが、陸軍の数は際立って少ない。
米軍の意図が先の毎日新聞記事のとおりだとすれば、極東有事の場合に統合軍の指揮をとる第1軍団の人数は、4軍の中で最大、またはそれに近い数になっているだろう。日本に駐留する陸軍の数は、何万というレベルで増えると見なければならない。それが、増援されて第1軍団の配下に編入される部隊なのだ。

第1軍団の司令部を受け入れる、ということは、実は有事(と米国が判断したとき)に何万人という数の陸軍部隊が、「日本の防衛」以外の目的でも駐留することにOKのサインを出すことに等しいのだ。

(RIMPEACE編集部)

 
  • はじめに
  • @ 在韓米陸軍の削減と、第1軍団司令部座間移駐との関係
  • A キャンプ座間は、以前から増援戦略の拠点だった
  • B 「基地の共同使用」に潜むもの

    2005-3-9|HOME|