急増する音響測定艦の寄港


2010年に寄港した米軍艦船の動きで特に目立ったのは2009年から増加していた音響測定艦の寄港回数と停泊日数の増加。

数年前まで、佐世保港に音響測定艦は年間1〜2隻程度が寄港するだけで、運用司令部組織(COMLOGWESTPAC)があった 横浜および東シナ海など作戦海域に近い沖縄(那覇軍港、ホワイトビーチ)への寄港が大半であった。

寄港回数を米会計年度ごとに見ると、佐世保には2008米会計年度には3隻であったものが2010米会計年度には34隻に、代わりに 横浜へは32隻から4隻へと激減している。この間、沖縄への寄港は29隻から14隻と減少はしたものの寄港回数は多い。中国や北朝 鮮の潜水艦の追尾・捜索という理由ならば会計年度でこのような極端な差が出てくるとは思えない。

米海軍佐世保基地では平瀬係船池(ジュリエット・ベース)に強襲揚陸艦用の大型岸壁があらたに完成し運用が開始された。この結果、 これまで強襲揚陸艦が停泊していた立神係船池(インディア・ベース)に余裕が生じることになる。
すでに、強襲揚陸艦が停泊していた岸壁に音響測定艦用の機材があることが確認されている。余裕ができた岸壁のスペースに音響測定艦 が事実上配備されることにつながりかねない。

このことについて米海軍佐世保基地は「新たな艦船の配備計画はない」としている。だが、音響測定艦のようなMSC(海上軍事輸送 司令部)が運用する艦船はこれまでも「母港はない」と説明されており、運用拠点として佐世保が事実上の配備場所となる可能性もあ る。

音響測定艦に加え、測量(海洋調査)艦、弾道ミサイル観測艦の合計で見ると、すべての艦船の入港回数(母港艦は出港回数)の約28 %を占めている。
ただし、佐世保港にはこれまでも測量(海洋調査)艦が数年にわたって集中的に寄港していたこともあり、今後の情勢によっては寄港し なくなることもあるだろう。

(RIMPEACE編集委員・佐世保)


はじめに
佐世保母港艦船の動き
洋上補給艦の寄港の特徴
洋上戦闘艦寄港の推移
2010年入港艦船一覧


2011-2-3