定着した音響測定艦と測量艦


情報収集艦船の寄港回数の年次推移

2010米会計年度(2009年10月〜)から突如増加していた音響測定艦の寄港は回数こそ前年と比較して若干減少したが、停泊日数は増加した。測量(海洋調査)艦も 同様な傾向が顕著で、情報収集に当たる艦船が佐世保を拠点としている傾向が続いている。

海底の地形や海流などを調査する測量艦は2001年頃から寄港が増加し、2011年には米海軍が運用する測量艦(6隻)のうち4隻が佐世保に寄港した。寄港回数のピー クは2004年の33回だが、いずれの年も1回あたりの平均停泊日数は10日以上で、補給や休養と合わせ艦船の維持・修理の拠点として運用されている実態が続いている。 測量艦の活動海域は東シナ海や南シナ海などユーラシア大陸の沿海海域が中心と思われ、度々中国海軍の艦船とトラブルを起している。

一方、潜水艦を追尾する音響測定艦は2009米会計年度まで、佐世保港に年間1〜2隻程度が寄港するだけで、運用司令部組織(COMLOGWESTPAC)があった 横浜および東シナ海など作戦海域に近い沖縄(那覇軍港、ホワイトビーチ)への寄港が大半であった。

寄港回数を米会計年度ごとに見ると、佐世保には2008米会計年度には3隻であったものが2010米会計年度には34隻に、代わりに横浜へは32隻から4隻へ、さらに 2011年には0隻へとなり、沖縄(那覇軍港、ホワイトビーチ)への寄港も9隻へと減少した。音響測定艦の任務海域が東シナ海や南シナ海にほぼ限定され、その拠点が 佐世保に変わったと見るべきだろう。
ただし、音響測定艦の「心臓部」である曳航具などの保管は確認されておらず、また、測量艦のように佐世保でドライドックでのメンテナンス作業を行うなどの維持・補修作 業も行っていないところから、運用上の拠点にとどまっているものと思われる。
だが、音響測定艦のようなMSC(海上軍事輸送司令部)が運用する艦船はこれまでも「母港はない」と説明されており、米海軍が運用する音響測定艦すべて(5隻)が寄港 し停泊日数も増加しているところから、佐世保が事実上の配備場所となっている可能性もある。

音響測定艦と測量(海洋調査)艦、弾道ミサイル観測艦など情報収集艦船の合計で見ると、すべての艦船の入港回数(母港艦を除く)の29・8%、補助・補給艦船に限定す れば入港回数の34・1%を占めている。

(RIMPEACE編集委員・佐世保)


2011年月別、音響測定艦の寄港回数・停泊日数


2011年月別、測量艦の寄港回数・停泊日数


はじめに
佐世保母港艦船の動き
空母艦隊や揚陸艦隊とリンクした補給艦
戦闘・作戦艦の動き
2011年入港艦船一覧


2012-1-26