米海軍佐世保基地の動き=2013年= はじめに


引き続く米海軍の予算削減は佐世保基地(CFAS)に配備されている艦船の活動に様々な影響を与えている。

第7艦隊の方針として配備計画が表明された新型の沿海戦闘艦(LCS)は、調達計画が米国議会で大きく削減されたことから実現の展望は見えず、沿海戦闘艦と交代して退役するとみられていた 掃海艦は当分、現役のまま配備されるものと思われる。
米国議会調査局(CRS)のレポートによれば、すでに調達済みの4隻に加え2010会計年度から2015会計年度までに調達あるいは調達計画中の沿海戦闘艦は20隻になるという。しかし、 その後の調達については不透明になっているようだ。

強襲揚陸艦ボノム・リシャールは2012年4月に交代配備されて以降、沖縄に強行配備されて新型輸送機オスプレイを搭載する訓練などを行っていたが、2013年は3月初旬から中旬にかけて 沖縄周辺海域で海兵隊とオスプレイの運用訓練を行っていた。
11月にはフィリピンを襲った台風「Haiyan/Yolanda」の救援作戦にドック型揚陸艦ジャーマンタウンと同型のアシュランドが参加したが、ボノム・リシャールは艦長の不祥事(収賄)疑惑の捜査 の都合、また故障修理が長引いたことで、年明けまで出港することはなかった。

佐世保に昨年入港した米海軍の隻数は延べ200隻となり、2年連続して減少した。2012年は空母戦闘群に随伴している戦闘補給艦(AOE)が0隻であったが、2013年は4回に、燃料補給艦 (AO)は若干減少し21回となった。食糧や備品に加え砲弾やミサイルなど各種兵器を補給する貨物弾薬補給艦(AKE)は旧型の弾薬補給艦(AE)と戦闘給糧艦(AFS)がすべて退役したため 2011年以降、30回を超える寄港が続いている。

音響想定艦、測量(海洋調査)艦、弾道ミサイル観測艦といった情報収集艦では音響測定艦の寄港が2011年以降は減少しているが、音響測定艦の1寄港当たりの平均停泊日数は逆に増加し、 19・4日なった。音響調査用のケーブルなど装備品の交換作業は確認されなかったが、それ以外のメンテナンス作業が行われていると思われ、事実上、「母港」の様相を呈している。

測量(海洋調査)艦の寄港は2001年以降増減を繰り返しており、昨年は再び増加した。また、弾道ミサイル観測艦は新型の建造が進められ、2014年中にも交代するという。しかしそれま では、西太平洋地域で弾道ミサイル発射の情報があるときには今後も補給や情報伝達などのため入港を繰り返すものと思われる。(グラフ【入港隻数の推移】参照)

(RIMPEACE編集委員・佐世保)



佐世保母港艦船の動き
拠点化した音響測定艦と測量艦
増加した洋上補給艦
戦闘・作戦艦の動き
2013年入港艦船一覧


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