動きが変化した情報収集艦
音響測定艦、測量(海洋調査)艦、弾道ミサイル観測艦といった情報収集艦では音響測定艦が集中して寄港しているが、ピークだった2010年(39回)と比べると21回(前年と同数)と、
約半分に減少した。
しかし、米海軍が運用する5隻の音響測定艦のすべてが西太平洋に展開している状況に変わりはない。1航海の任務期間も前年とほぼ同じく2〜3か月間で、その後の乗組員の休養や艦の維持作業
に当たるため停泊期間が20日近くになっている。
潜水艦を追尾する音響測定艦は2010米会計年度以降に増加しており、西太平洋補給運用司令部(COMLOGWESTPAC 事務所はシンガポール)の指揮下で南シナ海および東シナ海、フィリピン海、
日本海で任務にあたっていると思われる。
長崎県内では、時折、イルカなど海洋ほ乳類の異常行動が報告されているが、音響測定艦が潜水艦捜索のために使用している低周波アクティブ(LFA)ソナーの影響も考えられる。
音響測定艦の任務海域が西太平洋にほぼ限定され、休養や補給、情報伝達などの運用拠点が佐世保となっている状況が続いている。ただし、小規模のメンテナンス作業は行っているが、ドライドッ
クで長期間のメンテナンス作業を行うなどの維持・補修作業は本国に戻って行っているようだ。
一方、海底の地形や潮流などを調査する測量艦の寄港は2001年以降増減を繰り返しており、2014年は7回とその前の年より大幅に減少した。ただ、2009年にも7回と減少したが、翌年
には22回と急増しており、寄港回数の減少が活動の低下を示すものかどうかは不明。
米海軍が運用する測量艦(7隻)のうち14年は2隻だけが佐世保に寄港し、他の在日米軍基地の港には寄港していない。この数年、寄港回数は増減を繰り返しているが、1寄港当たりの停泊日数
は10日となり、長期の停泊が目立った。
なお、6月18日に一時寄港した米陸軍の揚陸艇コントレラスは、佐世保から測量艦のものと思われるリールを横浜に輸送していた。測量艦の資材補給は横浜で行うということなのだろう。
また、弾道ミサイル観測艦はこれまで走り回っていたオブザベーション・アイランドに代わり新型のハワード・O・ローレンセンが配備され、6月に佐世保に初めて寄港した。
それ以降、ほぼ2月ごとに佐世保から出港しているところから、配備地域での運用テスト中ではないかと思われる。本格運用後には西太平洋地域で弾道ミサイル発射の情報があるときには補給や
情報伝達などのため入港を繰り返すものと思われる。
音響測定艦と測量(海洋調査)艦、弾道ミサイル観測艦など情報収集艦船の入港回数は、すべての艦船の入港回数(母港艦を除く)の21・3(前年は31・0)%となった。
(RIMPEACE編集委員・佐世保)
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