増加する情報収集艦の寄港

音響測定艦、測量(海洋調査)艦、弾道ミサイル観測艦の中では音響測定艦が集中して寄港している。ピークだった2010年(39回)よりは減少したが、過去4番目の寄港回数となった。
また、米海軍が運用する5隻の音響測定艦のすべてが西太平洋に展開している状況に変わりはないようで、佐世保を中心に任務に当たっているようだ。乗組員の休養や艦の維持作業に当たるため停泊期間が20日近くになっているなど、航海と任務期間もこの数年ほぼ同じパターンをとっている。

2007年までは佐世保にほとんど寄港することがなかった音響測定艦が2010米会計年度以降に増加した背景には、米海軍の潜水艦の運用の変更と合わせ、中国海軍の急速な海洋進出と関係があると思われる。実際の運用は西太平洋補給運用司令部(COMLOGWESTPAC 事務所はシンガポール)の指揮下にあり、南シナ海および東シナ海、フィリピン海、日本海で任務にあたっているようで、佐世保や沖縄への寄港は休養や補給、連絡のためだろう。


一方、海底の地形や潮流などを調査する測量艦の寄港は2001年以降増減を繰り返しており、2015年は9回と、その前の年より微増した。ただ、2009年にも7回と減少したが、翌年には22回と急増しており、寄港回数の減少が活動の低下を示すものかどうかは不明。米海軍が運用する測量艦(6隻)のうち15年は3隻が佐世保に寄港し佐世保以外では横須賀に一回寄港しただけで、佐世保が事実上の拠点となっている。この数年、寄港回数は増減を繰り返しているが、1寄港当たりの停泊日数は10日超となり、長期の停泊が目立った。


また、2014年から前任のオブザベーション・アイランドと交代した弾道ミサイル観測艦ハワード・O・ローレンセンはこの10年ほどで最多に並ぶ10回の寄港を記録した。一回の停泊期間は依然と大きな変化がなく、運用方法は変わっていないようだ。


音響測定艦と測量(海洋調査)艦、弾道ミサイル観測艦など情報収集艦船の入港回数は、母港艦を除いた艦船の入港回数の29・3%(前年は21・3)%となった。


(RIMPEACE編集委員・佐世保)


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