増加した洋上補給艦


佐世保港に寄港する艦船ではこれまでも洋上補給艦が主役にいる。燃料補給艦と貨物弾薬補給艦を合わせた補給艦の入港回数は昨年と同じくこの6年では最多となった。また、入港した艦船の用途別(作戦艦、洋上補給艦、貨物輸送艦、燃料輸送船、情報収集艦、各種補助艦船)割合でも39・0%を占め、昨年同様に最多となった。

なかでも弾薬、食糧、被服、備品、燃料を統合して洋上補給できる貨物弾薬補給艦(満載排水量4万トン超 艦種記号=AKE)が2008年の初寄港以来、最も多くなった。理由としては艦船や航空機の燃料を補給する燃料補給艦(満載排水量4万2千トン、艦種記号=AO)、空母戦闘群に随伴して行動する高速戦闘支援艦(満載排水量4万9千トン、艦種記号=AOE)の任務も一部受け持ったこと、佐世保基地の弾薬設備の老朽化で最新型のミサイルや爆弾などが貯蔵できないため、必要なだけの少量補給が増えたためと推測される。

貨物弾薬補給艦の西太平洋での拠点はグアム・アプラ港だが、作戦海域である東シナ海などとの地理的関係や燃料備蓄施設の充実の理由から日本では佐世保に集中的に寄港しており、佐世保以外では横須賀に7回、沖縄・天願に3回だけ寄港した。

なお、米海軍は貨物弾薬補給艦を11隻運用(15年1月現在)しているが、そのうち佐世保には6隻が寄港した。また、佐世保に寄港する貨物弾薬補給艦の動きでは、韓国・鎮海との行き来が目立っている。

一方、燃料補給艦の寄港回数は最多となった2008年(33回)の半分以下の14回になり、減少傾向が続いている。しかし、燃料を搬入する大型タンカー(戦略給油船 AOT)は8回と前年同様で、燃料補給活動は依然として高水準にあると思われる。燃料補給は一部を貨物弾薬補給艦が受け持っていることが関係していると思われる。

燃料補給については、これまでは大型タンカーが佐世保の貯油所に運び込んでストックし、それを燃料補給艦が運び出すのが「常識」だったが、大型タンカーから直接燃料補給艦に移送する実験を行っていたことが判明した。

西太平洋補給司令部(COMLOG WESTPAC)が主宰して燃料補給艦ティペカヌーと大型タンカーの間で行われたもので、10月22日、佐世保港の沖合で行われたとのこと。これにより岸壁に接岸して燃料補給活動を行う必要がなくなり、補給の効率化につながるという。今後、燃料施設の運用に影響してくることも想定される。 っている。

(RIMPEACE編集委員・佐世保)



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