戦闘艦の動き

原潜寄港が過去最多に

原潜は9隻が延べ26回(16年は10隻、延べ24回)寄港し、過去最多の回数となった。このうち、寄港回数の大半を占めたのが人員の移送や情報伝達のための一時寄港(22回、16年は14回、15年は6回)だった。

そのため平均停泊日数は1.9日(16年3・5日、15年3.6日)と、この6年では最も停泊日数が短くなり、この数年の様子から明らかに変化した。ほかの在日米海軍基地への寄港と比較すると、沖縄・ホワイトビーチはすべてが一時寄港(16年は平均停泊日数1・1日)、ほとんどが長期停泊だった横須賀(平均停泊日数5.3日、16年は7・6日)、その中間の佐世保という傾向は変わらないが、全体として停泊期間が短縮している。。

日本の米海軍基地に寄港した原潜の動きでは、沖縄・ホワイトビーチの桟橋に艦隊係留支援設備が設置された2012年を除けば、横須賀、沖縄・ホワイトビーチを含めた寄港回数はこの数年、沖縄・ホワイトビーチが減少を続け、横須賀はほぼ横ばい、佐世保だけが大きく増加した。

在日米軍基地への原潜の寄港回数では沖縄・ホワイトビーチが18回、、横須賀は14回、佐世保は26回だった。

沖縄・ホワイトビーチの桟橋には艦船係留支援設備が整備されたが、防波堤が設備されていないなど長期間停泊できる環境にないため、短時間の寄港に限定されているものと思われる。一方、横須賀基地が原子力空母の母港とされたことにより原子炉への支援体制が充実し、また、原潜の整備と乗組員の休養施設や娯楽施設にも恵まれていることから停泊期間が長期化している。

これに対して佐世保は作戦海域に近く、また安定した艦船係留・支援設備があり、補給・休養もできるところから、東シナ海や日本海に近い佐世保に運用拠点がシフトされた、ということだろう。

ちなみに、米海軍によると原潜はこれまでの対水上艦、対潜水艦、艦隊防御作戦に加え、情報収集、監視、偵察(ISR)、対機雷作戦、海軍特殊作戦支援の任務も与えられている。




 

駆逐艦・巡洋艦は減少

16年は南シナ海での緊張が影響して、駆逐艦と巡洋艦といった洋上戦闘艦の寄港が急増したが、17年は合計で8隻(16年は合計22隻)と減少した。寄港したなかで駆逐艦1隻と巡洋艦1隻以外はすべて横須賀に配備されており、16年のように米本土から洋上活動グループ(PAC SAG)を派遣した作戦展開はなかったようだ。

寄港状況を米会計年度で分けてみると、2016米会計年度(2015年10月〜2016年9月)は洋上戦闘艦の寄港が24回だったのに対し、2017米会計年度(2016年10月〜2017年9月)の寄港回数は9回にとどまった。横須賀や沖縄・ホワイトビーチへの寄港もほとんどなかった。

理由は不明だが、東アジアの緊張が喧伝される一方、洋上戦闘艦の動きは少なかった。実際の軍事情勢によるものか、あるいは海軍の予算上の問題か、あるいは戦略の都合によるものなのかは明らかでない。

 

 


米海軍佐世保基地の動き はじめに
佐世保母港艦船の動き
減少傾向となった情報収集艦の寄港
急減した洋上補給艦
2017年入港艦船一覧


2018-2-3|HOME|