急減した洋上補給艦

佐世保港に寄港する米軍艦船では燃料補給艦(AO)、貨物弾薬補給艦(AKE)、高速戦闘支援艦(AOE)といった洋上補給艦が主要な艦種だが、過去最多となった16年から一転し、合わせて59回(16年は79回)となった。だが、入港した艦船の用途別(作戦艦、洋上補給艦、貨物輸送艦、燃料輸送船、情報収集艦、各種補助艦船)の割合では39.3%(16年は36・9%)を占め、最も多くなっている。。

なかでも弾薬、食糧、被服、備品、燃料を統合して洋上補給できるルイス&クラーク級貨物弾薬補給艦(満載排水量4万トン超 艦種記号=AKE)が2008年の初寄港以来、寄港回数が増えており、寄港回数は減少したが洋上補給艦全体の69.5%(16年は77・2%)を占めている。

理由としては艦船や航空機の燃料を補給する燃料補給艦(満載排水量4万2千トン、艦種記号=AO)、空母戦闘群に随伴して行動する高速戦闘支援艦(満載排水量49千トン、艦種記号=AOE)の任務も一部受け持ったこと、佐世保基地の弾薬設備の老朽化で最新型のミサイルや爆弾などが貯蔵できないため、必要なだけの少量補給が増えたため、および被服や雑貨などの補給が増加したためと推測される。

貨物弾薬補給艦の西太平洋での拠点はグアム・アプラ港だが、作戦海域である東シナ海や南シナ海などとの地理的関係、あるいは燃料備蓄施設の充実の理由から日本では佐世保に集中的に寄港しており、日本国内の基地で佐世保以外では横須賀に10回(16年13回)、沖縄・天願に3回(16年4回)寄港した。

なお、米海軍は貨物弾薬補給艦を14隻運用(16年12月現在)しているが、そのうちの2隻(ルイス$クラーク、サカガウェア)は海兵隊専用として運用されている。

このなかで佐世保には14隻中4隻が寄港したが、韓国海軍基地がある韓国慶尚南道・鎮海(チネ)や戦時補給施設に指定されている慶尚南道・光陽(クァンヤン)との行き来が目立っている。

一方、燃料補給艦の寄港回数は最多となった2008年(33回)の半分近い18回となり、減少傾向は変わらないようだ。しかし、燃料を搬入する大型タンカー(戦略給油船 AOT)は8回と前年同様で、燃料補給活動は依然として高水準にあると思われる。洋上での燃料補給は一部を貨物弾薬補給艦が受け持っていることが関係していると思われる。

また、燃料補給については、これまでは大型タンカーが佐世保の貯油所に運び込んでストックし、それを燃料補給艦が運び出すのが「常識」だったが、16年10月に大型タンカーから直接、洋上で燃料補給艦に移送する実験を行っていたが、その影響もあるのだろう。

現在運用されているヘンリー・J・カイザー級の燃料補給艦は1986年から運用が始まり、1995年に最終艦のラパハノックが就役しており、老朽化が指摘されていた、このため米海軍の将来艦隊計画によると、燃料補給艦は新型への更新が計画されている。

 




米海軍佐世保基地の動き はじめに
佐世保母港艦船の動き
減少傾向となった情報収集艦の寄港
急減した洋上補給艦
戦闘艦の動き
2017年入港艦船一覧


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