急減した洋上補給艦

佐世保港に寄港する米軍艦船では燃料補給艦(AO)、貨物弾薬補給艦(AKE)、高速戦闘支援艦(AOE)といった洋上補給艦が主要な艦種だが、過去最多となった16年(79回)以降、17年59回、1846回と減少している。入港した艦船の用途別(作戦艦、洋上補給艦、貨物輸送艦、燃料輸送船、情報収集艦、各種補助艦船)の割合では32.4%(17年39.3%、16年36.9%)を占め、依然として最も多くなっている。。

なかでも弾薬、食糧、被服、備品、燃料を統合して洋上補給できるルイス&クラーク級貨物弾薬補給艦(満載排水量4万トン超 艦種記号=AKE)が半数以上を占めている傾向は変わっていない。

理由としては艦船や航空機の燃料を補給する燃料補給艦(満載排水量4万2千トン、艦種記号=AO)、空母戦闘群に随伴して行動する高速戦闘支援艦(満載排水量49千トン、艦種記号=AOE)の任務も一部受け持ったこと、佐世保基地の弾薬設備の老朽化で最新型のミサイルや爆弾などが貯蔵できないため、必要なだけの少量補給が増えたため、および被服や雑貨などの補給が増加したためと推測される。

貨物弾薬補給艦の西太平洋での拠点はグアム・アプラ港だが、作戦海域である東シナ海や南シナ海などとの地理的関係、あるいは燃料備蓄施設の充実の理由から日本では佐世保に集中的に寄港しており、日本国内の基地で佐世保以外では横須賀に10回(16年13回)、沖縄・天願に3回(16年4回)寄港した。

なお、米海軍は貨物弾薬補給艦を14隻運用(16年12月現在)しているが、そのうちの2隻(ルイス$クラーク、サカジャウィア)は海兵隊専用として運用され、サカジャウィアはサイパン島(北マリアナ連邦)の沖合で待機している。

このなかで佐世保には就役中の14隻のうち7隻が寄港した。

一方、燃料補給艦の寄港回数は最多となった2008年(33回)の半分以下の14回となり、減少傾向は変わらないようだ。しかし、燃料を搬入する大型タンカー(戦略給油船 AOT)は14回(17年は8回)と大きく増加し、燃料補給活動は依然として高水準にあると思われる。

また、燃料補給については、これまでは大型タンカーが佐世保の貯油所に運び込んでストックし、それを燃料補給艦が運び出すのが「常識」だったが、16年10月に大型タンカーから直接、洋上で燃料補給艦に移送する実験を行っていたが、その実験が終了し、また元の燃料補給体制に戻ったものと思われる。

現在運用されているヘンリー・J・カイザー級の燃料補給艦は1986年から運用が始まり、1995年に最終艦のラパハノックが就役しており、老朽化が指摘されていた、このため米海軍の将来艦隊計画によると、燃料補給艦は新型への更新が計画されている。

 (グラフ【艦種別寄港割合】及び【洋上補給艦の推移】参照)

 




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佐世保母港艦船の動き
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