洋上補給艦 再び増加へ


佐世保港に寄港する米軍艦船では燃料補給艦(AO)、貨物弾薬補給艦(AKE)、高速戦闘支援艦(AOE)といった洋上補給艦が主要な艦種だが、入港数では過去最多となった16年から減少傾向となっ ているが、2019年は64回と再び増加した。(16年79回、17年59回、18年46回)

入港した艦船の用途別(作戦艦、洋上補給艦、貨物輸送艦、燃料輸送船、情報収集艦、各種補助艦船)の割合では洋上補給艦が40・5%を占め、最も多くなっている。
なかでも弾薬、食糧、被服、備品、燃料を統合して洋上補給できるルイス&クラーク級貨物弾薬補給艦(満載排水量4万トン超 艦種記号=AKE)が2008年の初寄港以来、寄港回数が増えており、 洋上補給艦全体の57・8%(18年は69・6%)を占めている。

理由としては艦船や航空機の燃料を補給する燃料補給艦(満載排水量4万2千トン、艦種記号=AO)、空母戦闘群に随伴して行動する高速戦闘支援艦(満載排水量4万9千トン、艦種記号=AOE)の任 務も一部受け持ったこと、佐世保基地の弾薬設備の老朽化で最新型のミサイルや爆弾などが貯蔵できないため必要なだけの少量補給が増え、また被服や雑貨などの補給が増加したためと推測される。

貨物弾薬補給艦の西太平洋での拠点はグアム・アプラ港だが、作戦海域である東シナ海や南シナ海などとの地理的関係、あるいは燃料備蓄施設の充実の理由から日本では佐世保に集中的に寄港して おり、日本国内の基地で佐世保以外では横須賀に7回、沖縄・天願に10回寄港した。

なお、米海軍は貨物弾薬補給艦を14隻運用(19年12月現在)しているが、そのうちの2隻(ルイス$クラーク、サカジャウィア)は海兵隊専用として運用されている。

19年中に佐世保には14隻中7隻が寄港したが、西太平洋の補給拠点・グアム、韓国海軍基地がある韓国慶尚南道・鎮海(チネ)や戦時補給施設に指定されている慶尚南道・光陽(クァンヤン)、およ びシンガポールとの行き来が目立っている。

一方、燃料補給艦の寄港回数は最多となった2008年(33回)に並ぶ27回となり、燃料を搬入する大型タンカー(戦略給油船 AOT)は11回と前年同様で、燃料補給活動は依然として高水準にあると 思われる。洋上での燃料補給は一部を貨物弾薬補給艦が受け持っていることが関係していると思われる。

現在運用されているヘンリー・J・カイザー級の燃料補給艦は1986年から運用が始まり、1995年に最終艦のラパハノックが就役しており、老朽化が指摘されていた。このため米海軍の将来艦隊計画に よると、燃料補給艦は新型への更新が計画されている。
 (グラフ【艦種別寄港割合】及び【洋上補給艦の推移】参照)

(RIMPEACE編集委員・佐世保)



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