戦闘艦の動き


原潜は6隻が延べ14回(18年は6隻、延べ15回)寄港し、過去最多の回数となった17年(26回)から2年続けて減少した。このうち、寄港回数の大半を占めたのが人員の移送や情報伝達のための一時寄 港(14回中8回、17年は26回中21回、18年は15回中9回、19年は14回中8回)だった。停泊日数が伸びたのは休養のために寄港することが多くなったことによるが、それでも大半は作戦上の情報受け 渡しなどの短時間寄港だった。

そのため平均停泊日数は3.4日(17年1.9日、18年3.8日)と、この2017年を除くとこの数年の平均停泊日数と同水準に戻った。ほかの在日米海軍基地への寄港と比較すると、沖縄・ホワイトビーチは ほぼすべてが一時寄港(平均停泊日数1.3日)、ほとんどが長期停泊だった横須賀(平均停泊日数5.0日、18年は4・6日)、その中間の佐世保という傾向は変わらない。

ちなみに、米海軍によると原潜はこれまでの対水上艦、対潜水艦、艦隊防御作戦に加え、情報収集、監視、偵察(ISR)、対機雷作戦、海軍特殊作戦支援の任務も与えられている。
(グラフ【寄港地ごとの原潜】)

駆逐艦・巡洋艦は増加
19年は南シナ海での緊張が影響したのだろうか、駆逐艦と巡洋艦といった洋上戦闘艦の寄港が16年以来の隻数となった。入港した洋上戦闘艦の半数近く(8隻)がカリフォルニア州サンディエゴ海 軍基地を母港としていた。また、横須賀への外来洋上戦闘艦や沖縄・ホワイトビーチへの洋上戦闘艦の寄港もほとんどなかった(横須賀、4回。ホワイトビーチ、8回)。手狭な横須賀基地や支援 設備が不十分な沖縄から比較的余裕のある佐世保基地に寄港している様子がうかがえる。
しかし、16年は米本土から太平洋・洋上活動グループ(PAC SAG)を派遣した作戦展開が多かったが、19年は明確には確認できなかった。

寄港状況を米会計年度(10月1日〜翌年9月30日)で分けてみると、2016米会計年度(2015年10月〜2016年9月)は洋上戦闘艦の寄港が24回だったのに対し、2019米会計年度(2018年10月〜2019年9月) の寄港回数は16回にとどまった。
理由は不明だが、東アジアの緊張が喧伝される一方、洋上戦闘艦の動きは少なかった。実際の軍事情勢によるものか、あるいは海軍の予算上の問題か、あるいは戦略の都合によるものなのかは明らかでない。  (グラフ【艦種別寄港割合】及び【洋上補給艦の推移】参照)

(RIMPEACE編集委員・佐世保)


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