佐世保母港艦船の動き


概要
佐世保基地には2020年12月末現在、揚陸艦5隻、掃海艦4隻が配備され、沖縄県うるま市のホワイトビーチ基地に司令部を置く第1揚陸即応軍(ARG−1)指揮下で第11揚陸戦隊(COMPHIBRON−11)を編成し、司令部は強襲揚陸艦アメリカの中にある。

強襲揚陸艦アメリカはF35BUライトニングなどの航空機運用能力を強化するためウエル・デッキを廃止し、LCACやLCUなど小型舟艇の運用が出来なくなった。このことについては海兵隊から不満が出ているようで、アメリカ級の揚陸艦(LHA[R])は2番艦で終了し、改良型が建造されることとなった。小型舟艇の運用を補完するためドック型輸送揚陸艦ニューオルリンズが追加配備された。

港湾の機雷除去などにあたる米海軍の掃海艦は現在、全世界で8隻にまで減少しているが、米海軍の艦隊建造計画(Shipbuilding Plans)によると順次沿海域戦闘艦(LCS)に置き換える計画が進んでいる。今後調達が進めば、佐世保基地に4隻配備されている掃海艦はすべて退役することになるだろう。

掃海艦が配備されているのは佐世保以外では中東バーレーン・マナマ基地(4隻)だけで、掃海艦隊司令部があったテキサス州イングリサイド海軍基地は数年前に閉鎖されている。 LCSは2020会計年度末現在、20隻が就役または就役準備中。このほか7隻が建造中となっている。

艦隊の動き
佐世保に配備されている揚陸艦隊は米朝会談が影響したのだろうか、あるいは新型肺炎感染防止のためなのかは不明だが、これまでと比較すると大規模な訓練への参加は減少した。

揚陸艦隊はいつもの年と同じように新年休暇が明けた後、1月中旬からさまざまなトレーニングを行った後、アジア周辺での訓練に出かけたが、20年は沖縄・ホワイトビーチで海兵隊とその資材を積み込んだ後、沖縄やグアム周辺海域のフィリピン海および南シナ海での訓練を行っただけで、米韓合同訓練の中止を受けて米海軍単独の訓練と展開に終始した。

 目立ったのは強襲揚陸艦としての存在をキャンペーンするためなのか、航海中の艦船が密集した状態で写真に写る「PHOTOEX」が主要な任務かと思えるほどで、1月から5月に戻ってくるまでの間、合計6回ものPHOTOEXに参加していた。このうち米海軍以外が参加したのは4月10日(海上自衛隊「あけぼの」と)、4月18日(豪州海軍(フリゲート艦「パラマッタ」)だけだった。

結局、揚陸艦隊が関係したのは2月20日からタイで行われたコブラ・ゴールド(COBLA GOLD 2020)に参加したドック型輸送揚陸艦グリーンベイだけだったようだ。

この時期、東南アジア諸国との間で毎年行われているCARAT(Cooperation Afloat Readiness and Training 洋上即応共同訓練)も今年は中止されたようだ。

掃海艦隊では11月18日から宮崎県沖の日向灘で行われた日米共同掃海訓練(MCMEX)にパトリオットが参加した。

佐世保を母港としている艦船で、参加した訓練や海外の寄港地などが判明したものは次の表のとおり。

(RIMPEACE編集委員・佐世保)



米海軍佐世保基地の動き=2020年= はじめに
情報収集艦は減少 音響測定艦寄港はなし
洋上補給艦 再び増加へ
戦闘艦の動き
2020年入港艦船一覧


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