戦闘艦の動き

原潜は1隻が2回(19年は6隻が延べ14回、18年は6隻が延べ15回)寄港し、前年から大きく減少した。太平洋艦隊に所属する原潜艦隊の動きも少なくなり、特に作戦航海の任務中に寄港する回数も制限されており、「不要・不急」に寄港が少なくなったようだ。このため、一時寄港が多かった佐世保と沖縄・ホワイトビーチへの寄港はこの数年で最も少なくなった。

確認できる範囲でだが、太平洋艦隊に配備されている原潜の動きも感染防止を優先したのだろうか、動きが少なかった。出港した原潜も以前のように国外の港(韓国・鎮海、フィリピン・スービック、タイ・サタヒップなど)に寄港することは少なく、カリフォルニア州サンディエゴ海軍基地やハワイ州パール・ハーバーに配備されている原潜はグアム・アプラ港で休養と補給を受けるケースが多かったようだ。

ちなみに米海軍によると、原潜はこれまでの対水上艦、対潜水艦、艦隊防御作戦に加え、情報収集、監視、偵察(ISR)、対機雷作戦、海軍特殊作戦支援の任務も与えられている。南シナ海や東シナ海、日本海で行われているこれらの新しい任務にも影響が出てきていたのではないだろうか。



駆逐艦・巡洋艦は減少
ここでも新型肺炎の影響があるようだ。19年は南シナ海での緊張が影響して駆逐艦と巡洋艦の寄港が16年以来の18隻と増加していたが、20年は9隻が11回(巡洋艦2隻2回、駆逐艦7隻が9回)と減少した。入港した洋上戦闘艦のうち3隻はカリフォルニア州サンディエゴ海軍基地、5隻は横須賀基地、1隻はハワイ州パール・ハーバーを母港としていた。また、横須賀への外来洋上戦闘艦や沖縄・ホワイトビーチへの洋上戦闘艦の寄港も少なかった(横須賀3回、ホワイトビーチ5回)。空母セオドア・ルーズベルトや空母ロナルド・レーガンで新型肺炎の感染が拡大したことの影響もあり、CSG(空母戦闘群)やSAG(洋上戦闘群)の活動が減少したことの影響と思われる。

空母艦隊を中心とした二国間・多国間訓練も規模の大きいものは少なく、7月19日から23日に海上自衛隊の護衛艦1隻、米海軍の空母、巡洋艦、駆逐艦各1隻、豪州海軍の強襲揚陸艦や駆逐艦など5隻が参加し、南シナ海からフィリピン海にかけて行われた日・米・豪合同訓練が最大なものであった。

周辺海域で合同訓練などが少なくなった結果、洋上戦闘艦が佐世保に寄港することが減少したことにつながったのだろう。

(RIMPEACE編集委員・佐世保)


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2020年入港艦船一覧


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