情報収集艦は減少 音響測定艦寄港はなし

潜水艦の発する音を調査する音響測定艦の寄港は2006年から目立ち、2009年以降急激に増加していたが、2019年は急減し、2020年は寄港がなくなった。2006年から始まった音響測定艦の寄港は2010年(39回)をピークに、15年(29回)、16年(27回)、17年(21回)と減少を続けていた。

一方、横浜港ノースドックには2019年から帰港が急増している(2018年5回、2019年18回、2020年30回)。また沖縄・ホワイトビーチには2018年以降増加し、2020年は15回寄港している。特徴的には横浜の停泊では長期間停泊することが多く、対して沖縄では数日間の停泊が主など、港によって違いが目立つ。

佐世保の寄港が減少し横浜が増加した理由として考えられるのは、収集した情報の管理体制と音響測定艦への支援体制の問題があるものと思われる。

米海軍が運用する5隻の音響測定艦のすべてが西太平洋に展開している体制には変更がなく、これまでと同様に中国や北朝鮮の潜水艦を主要な捜索の対象にしていると思われる。特に中国海軍(人民解放軍海軍)の潜水艦については行動範囲がグアム周辺の西太平洋にまで広がり、さらに静粛性も向上しているところから、重点的に調査していると思われる。

ただ、継続されている潜水艦への監視活動の結果、米海軍情報部(ONI)が米国議会に提出した報告によれば、中国海軍の潜水艦は近代化・大型化して静粛性が向上しているものの、近年の内に対抗勢力になるとは分析していない。

また、海底地形や潮流など潜水艦の行動にかかわる情報を収集する測量(海洋調査)艦の寄港も急増したが、2010年の22回をピークに、以後は減少傾向が続き、2019年は4隻にとどまり、2020年は1隻2回と減少した。

弾道ミサイル観測艦ハワード・O・ローレンセンは2回(18年は12回、19年は8回)寄港した。一回の停泊期間は依然と大きな変化がなく、周辺での弾道ミサイル発射情報や自国の訓練に合わせて移動するという運用方法は変わっていないようだ。



(RIMPEACE編集委員・佐世保)


米海軍佐世保基地の動き=2020年= はじめに
佐世保母港艦船の動き
洋上補給艦 再び増加へ
戦闘艦の動き
2020年入港艦船一覧


2021-2-1|HOME|