シリーズ「音響測定艦の動きを探る」−4

LFA搭載艦の横浜ノースドック寄港後の動き


LFAソナーの最初のテストを終えてノースドックに戻ってきたコリー・ショウエスト(03年2月11日 撮影)

「クジラ殺し」の低周波アクティブ(LFA)ソナーを搭載している2隻の音響測定艦コリー・ショウエストとインペッカブルが、その配備の初期に横浜ノースドックにやってきたときの動きを、少し詳しく見てみよう。

SEIS文書によれば、コリー・ショウエストは、2003年1月25日にSURTASS LFA システムのテストとトレーニングを始めた。その前年の2002年11月22日に横浜ノースドックに入港したコリー・ショウエストは、2ヶ月間埠頭を離れなかった。今から思えば、その間に SURTASS LFA システムを船内で整備して、実験開始のゴーサインを待っていたのだろう。
2003年1月22日にノースドックを出港したコリー・ショウエストは、3日後にテスト海域でLFAソナーの使用を開始して、31日にノースドックに戻ってくる。
次の航海は、2月17日から28日まで、その次は3月4日から3月10日までだった。いずれも横浜ノースドックに戻ってきた。

コリー・ショウエストがLFAを積んで初めて参加した大演習が2003年の米豪合同演習タンデム・スラストだ。03年4月1日にノースドックを出港したコリー・ショウエストは、14日からの演習に参加した。オーストラリア海軍のコリンズ級ディーゼル潜水艦を探知するゲームを行ったと見られる。
おそらくグアムでデータ解析と休養をしたあと、那覇経由で横浜に戻ってきたコリー・ショウエストは、9月末から沖縄近海で行われた日米合同対潜訓練に加わった。このときにコリー・ショウエストが探知目標としたのは、海自のディーゼル潜水艦だったのだろう。

その後、コリー・ショウエストは2ヶ月から3ヶ月のインターバルで横浜ノースドックに寄港し続けている。LFAソナー搭載第一号艦として、ルーティンの潜水艦探査業務に入ったとみてよい。

コリー・ショウエストに遅れること1年余り、音響測定艦インペッカブルがLFAの運用を始めたのは2004米会計年度(2003.9−04.8)のなかばのことだった。2004年3月23日、インペッカブルが横浜ノースドックに初寄港した。これも今から考えると SURTASS LFA システム を運用する海域に出かけるための準備だったのだ。 インペッカブルは横浜をベースに短い航海を繰り返す。2005年3月まで、航海日数が横浜在港日数の半分といういわば1勤2休状態だった。積みこんだSURTASS LFA システムの調整に追われていた可能性がある。

インペッカブルが「まともな」インターバルで航海に出るようになったのは2005年4月からだ。このとき以降、沖縄近海でのLFAソナーでの潜水艦探索が、2隻態勢で回り出したといえる。

(RIMPEACE編集部)


ノースドックに初寄港した翌日のインペッカブル


1.はじめに
2.音響測定艦の活動領域
3.今後の音響測定艦と低周波アクティブソナーの配備計画
4.LFA搭載艦の横浜ノースドック寄港後の動き(このページ)

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