シリーズ「音響測定艦の動きを探る」−1

はじめに


SURTASS LFA システム(EIS文書より) この船はコリー・ショウエスト。垂直に伸びているのがLFAソナー

2005年11月に、米海軍が低周波アクティブ(LFA)ソナーが環境に与える影響についての補足文書(Supplemental Environmental Impact Statement、以下SEIS文書と省略)を公表した。
低周波アクティブソナーの必要性を訴えるこの文書は、なかなか外部からは見えづらい音響測定艦の動きを、ある程度オープンにするものでもある。

低周波アクティブソナーを積んだ音響測定艦の活動領域、低周波アクティブソナーの配備計画、任務航海と港での「休養」の代表的なパターンがこのSEIS文書には記されている。私たちがこれまで積み重ねてきた、音響測定艦の各基地への寄港データをこの文書の情報と重ねることで、音響測定艦が出入りする在日米軍基地が、米海軍の戦略の中でどのような意味を持っているかが、よりはっきりしてくる。

「音響測定艦の動きを探る」シリーズの目次
1.はじめに(このページ)
2.音響測定艦の活動領域
3.今後の音響測定艦と低周波アクティブソナーの配備計画
4.LFA搭載艦の横浜ノースドック寄港後の動き

なお、LFAソナー搭載艦の年間任務航海パターンは、音響測定艦横浜に2隻。任務に展開するパターンは?(06.4.11)で、
06年1月に音響測定艦4隻が横浜ノースドックに集合した理由の推定については、また音響測定艦が集まってきた横浜ノースドック(06.4.22)で、それぞれ触れている。

蛇足ながら、低周波アクティブ(LFA)ソナーを米海軍が導入する理由と、現在米海軍に存在する音響測定艦について、ごく簡単にまとめておきたい。

LFAソナーは、浅い海でパッシブソナーではつかみきれない敵性の新型ディーゼル潜水艦を、米空母艦隊に攻撃を仕掛ける以前のはるか遠い位置で、その存在をつきとめるために用いる。名指しで挙げられているのは、中国、北朝鮮、イランの潜水艦だ。

今、米海軍MSC(Military Sealift Command)の音響測定艦は、コリー・ショウエストと、双胴型のビクトリアス(19番), エフェクティブ(21番), ロイヤル(22番), それに、似た形ながら船体を大きくしたインペッカブル(23番) だ。LFAのテストはコリーショウエストで行われ、船体の大きなインペッカブルと2隻だけが、今LFAを装備している。

[参考文書] "DRAFT SUPPLEMENTAL ENVIRONMENTAL IMPACT STATEMENT FOR SURVEILLANCE TOWED ARRAY SENSOR SYSTEM LOW FREQUENCY ACTIVE (SURTASS LFA) SONAR" - NOVEMBER 2005

(RIMPEACE編集部)


インペッカブルから巻き取られたSURTASSのケーブル(パッシブソナー、上図では水平に伸びている)(06年5月5日 撮影)


'2006-5-7|HOME|