マヤカシの艦載機移駐は許さない

4.最悪のシナリオを避けるために


中間報告に盛りこまれた「厚木基地の艦載機の移駐」について、訓練空域、提供施設の二面から検証してきた。
艦載機の移転が「厚木基地から爆音と危険をなくす」のかどうかは、この報告書ではわからないと言える。いや、むしろ、肝心なところを隠していて、このままでは「艦載機の移駐」がマヤカシに終わってしまう可能性が多いと結論せざるを得ない。

最悪のシナリオを考えてみよう。
厚木の艦載機57機は岩国に移駐する。しかし訓練空域は従来通り大島沖や八丈島沖の空域を使用するために、訓練空域への行き来には厚木基地を利用する。
厚木基地、岩国基地の両基地間の移動が増えるぶんだけ、これまでより騒音が増大する。
艦載機、海兵隊機とも沖縄での訓練が増大する。そのために嘉手納のF15が一部の訓練を本土各自衛隊基地から行い、騒音・危険性が全国的に拡大する。

「最悪のシナリオ」は現実味は薄いのだろうか。否、行動の自由を再優先させてきたこれまでの米軍のやり方や、それを追認するばかりの日本政府を見ていると、最も可能性の強いシナリオにもなりかねない、とわたし達は考えている。

繰り返しになるが、現時点で厚木基地に関して確認しなければならない点を挙げておこう。もちろんこれだけではないが、少なくとも以下の二点についてははっきりさせておかなければならない。

1.これまで厚木の艦載機が使っていた訓練空域は「返還・解除」されるのか。

2.艦載機が移駐したあとの格納庫・駐機場区域は返還されるのか。

イエスかノーか、単純な設問だ。日本政府ならすぐにでも答えられるはずだ。
もし、答えがノーだとしたら、もしくは答えが無かったら、「厚木の艦載機の移駐」は周辺住民の苦痛の解消には程遠いマヤカシだ、ということになる。

(岡本聖哉・大和市議、金子ときお・相模原市議、編集部)


マヤカシの艦載機移駐は許さない 目 次
1.はじめに

2.移駐後、訓練空域はどうなる?

3.艦載機の格納庫・駐機場区域はどうなる?

4.最悪のシナリオを避けるために(このページ)


マヤカシの艦載機移駐は許さない 秘密空域の存在
米軍公式文書が語る、艦載機の訓練空域の実態

資料1. 日本周辺の訓練空域

資料2. 訓練空域設定関連の国会審議と、米軍空域設定の「根拠」

資料3. 事故当日の厚木の艦載機の飛行計画書


'2006-3-3|HOME|