洋上補給艦 再び増加へ


佐世保港に寄港する米軍洋上補給艦船は燃料補給艦(AO)、貨物弾薬補給艦(AKE)だけが現在運用されているが、入港数では過去最多となった16年以来、増減を繰り返している。(16年79回、17年59回、18年46回、19年64回、20年76回、21年54回、22年64回、23年52回) 母港としている艦を除いた入港した艦船の用途別(作戦艦、洋上補給艦、貨物輸送艦、燃料輸送船、情報収集艦、各種補助艦船)の割合では洋上補給艦が45%を占め、入港艦船の大半を占めている。

なかでも弾薬、食糧、被服、備品、燃料を統合して洋上補給できるルイス&クラーク級貨物弾薬補給艦(満載排水量4万トン超 艦種記号=AKE)が2008年の初寄港以来、寄港回数が増えており、洋上補給艦全体の62%(22年は55%)を占めている。

理由としては艦船や航空機の燃料を補給する燃料補給艦(満載排水量4万2千トン、艦種記号=AO)、空母戦闘群に随伴して行動する高速戦闘支援艦(満載排水量4万9千トン、艦種記号=AOE 現在は全て退役状態)の任務も一部受け持ったことに加え、佐世保基地の弾薬設備の老朽化で最新型のミサイルや爆弾などが貯蔵できないためと思われる。

さらに20年以降は、新型コロナ感染症対策で空母や巡洋艦、駆逐艦などの洋上作戦艦が寄港を敬遠し、洋上補給に切り替えたためと推測される。

貨物弾薬補給艦の西太平洋での拠点はグアム・アプラ港だが、作戦海域である東シナ海や南シナ海などとの地理的関係、あるいは燃料備蓄施設の充実の理由から日本では佐世保に集中的に寄港している。

米海軍は貨物弾薬補給艦を14隻運用(22年12月現在)しているが、そのうちの2隻(ルイス&クラーク、サカジャウィア)は海兵隊専用として運用されている。

23年中に佐世保には昨年同様に14隻中6隻が寄港しているが、横須賀と沖縄のほかに西太平洋の補給拠点・グアム、韓国海軍基地がある韓国慶尚南道・鎮海(チネ)や戦時補給施設に指定されている慶尚南道・光陽(クァンヤン)、フィリピン・スービックおよびシンガポールとの行き来が目立っているが、主要な停泊港(米海軍によれば「母港はない」)は第7艦隊のエリアでは佐世保のほか、シンガポールが目立っている。

一方、佐世保基地から燃料を搬出する燃料補給艦の寄港回数は20回となり22年(29回)から大きく減少した。だが、基地間の燃料輸送にあたる中型タンカーの寄港回数は21回(22年は19回)とほぼ変わらなかった。燃料搬送先は国内(岩国、八戸、沖縄・金武湾など)だけでなく韓国(釜山、蔚山など)、マーシャル諸島クワジェリンにまで及んでいる。

一方、佐世保基地に燃料を搬入する大型タンカーの寄港は22年の19回から9回に大きく減少した。

また燃料補給艦については、現在運用されているヘンリー・J・カイザー級の燃料補給艦が1986年から運用が始まり、1995年に最終艦のラパハノックが就役しているが、老朽化を理由にして後継艦の設計が進められている。米海軍の将来艦隊計画( Navy Force Structure and Shipbuilding Plans)によると、燃料補給艦は貨物積載量を約半減した新型(ルイス・クラーク級)への更新が計画されており、すでに2隻が就役間近となっている。

(RIMPEACE編集委員・佐世保)


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佐世保母港艦船の動き
情報収集艦は減少 測量艦の寄港は1回だけ
戦闘艦の動き
高速輸送艦・揚陸補助艦
引き続く朝鮮国連軍艦船の寄港
2023年 寄港艦船の一覧


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